公共交通機関を使って自転車を運ぶ「輪行」、ご存じでしょうか。知っている人でも、飛行機での輪行について、ハードルが高いと思ってる方も多いのではないでしょうか?そこで、全日空(ANA)が協賛するサイクルイベント「サイクリング しまなみ 2022」へ参加し、飛行機で自分の自転車を「輪行」した体験をレポートします。国内線での輪行の注意点やそのルールについて、ANAのみなさんに詳しく聞きました。
■飛行機に自転車を預けるのは、簡単!
まずは、飛行機での輪行って、本当に大丈夫?と心配な方に。「決して、ハードルは高くありません。折りたたんで、輪行バックに包むだけで、OKです。」とのこと。簡単なビニールのものから、ソフトケース、ハードケースなどの輪行バックが市販されていますが、どんなものでも、自転車がきちんと梱包してあれば、問題ありません。あとは、カウンターで預けるルールや注意点を押さえておけば大丈夫です。
■自転車を預ける場合、航空会社に電話しましょう!
まずは、自転車などの大きな荷物を預ける場合、航空券を予約後、事前に連絡を行ってほしいとのことです。航空会社では、予約状況や荷物の予測をもとに、貨物スペースや機材の調整を行っています。事前連絡なしに、当日に多くの人が大きな荷物を預けた場合に、積み込みができない事態が発生する可能性があるそうです。
■どんな自転車が預けられるの?
一般的なロードバイクと呼ばれる自転車や折りたたみ式自転車であれば、折りたたんで預けることができます。折りたたみ式ではない場合は3辺の合計が203cm以内であれば、預けられます。3辺の合計が203cmを超える自転車は、事前に連絡し、確認が必要です。重さは、エコノミークラスであれば、自転車を含めたすべての預入荷物に対して、20kgまで無料で運ぶことができます。
大きなバッテリーを備えた電動アシスト自転車は、ほとんどの場合、預けることができません。理由は、リチウム電池(リチウムイオン電池、リチウム金属電池)が危険物として取り扱われるためです。リチウム含有量が2gを超えるもの、もしくは、ワット時定格量が160Whを超えるものについて、預けることができません。
■預ける際に、どんな注意が必要?
預入荷物の検査は、航空会社スタッフではなく、空港保安検査員が行います。航空機を安全に運航するために、危険なものを持ち込ませないためです。空港では、梱包の中身の確認が行われるため、すぐに開封できる状態にする必要があります。自転車本体以外のガスシリンダー、パンク修理用品、オイルなども、すぐに提示できるようにしましょう。自転車と一緒に衣服なども含めることが可能ですが、特に帰りの際に、汗まみれのバイクジャージをそのまま放り込むと恥ずかしい思いをします。
航空機での輸送には、自転車の付属品類で危険物の観点から輸送が一部禁止されているものがあります。特に注意が必要なのは、パンク用のガスシリンダーやパンク修理用品、電動変速シフトのバッテリー類。輸送の可否を判断する際に、その製品の容量や成分がわかる、製品仕様書やパンフレット(Web上でもOK)などを用意しておけば、スムーズに検査が進みます。万が一、出発時刻までに確認が取れない場合は、輸送を断られる場合があります。
空港カウンターでは、手荷物の形状や特性にあわせて、「取り扱い注意」「上積み禁止」「上向方向」「この面を上」などのシールが準備されています。
■預けてから、目的地までどんな感じ?自転車は大丈夫?
一般的な手荷物は、ベルトコンベアーで運びながら検査を行い、制限エリアへ運びます。
自転車の場合は、空港保安検査員のチェックが終了すると、制限エリア内のコンテナへ積み込む場所からコンテナ内まで、人の手で大切に運ばれます。自転車については、「取り扱い注意」などのシールの指示がある場合などは、特に細心の注意を払いながら取り扱われます。
ボーイング787型機、777型機、767型機の場合は、コンテナで航空機に積み込まれます。一方、小型機であるボーイング737機やエアバスA321neo、A320型機の場合、コンテナではなく、トラックの荷台に載せられ、航空機に直接積み込まれる場合もあります。
到着空港でも、丁寧に手で運ばれており、とても安心です。
■大切な自転車、万が一の補償が心配な方。従価料金って、知ってますか?(手荷物預けで知っておきたいこと)
手荷物に万が一のことがあった場合の補償について、15万円までの賠償限度額が設けらています。高価な自転車など、15万円を超える高額な手荷物を預ける場合には、「従価料金」という制度が利用できます。この場合、15万円を超えた分に対して、1万円に付き10円の料金を支払うことにより、賠償限度額を引き上げることができます。数百円ほどの「従価料金」を支払うと、ゴールドの「お手渡し品」というタグを付けられます。ただし、搬送過程や搭載過程で航空会社に明らかに過失がある場合を除き、壊れやすいパーツなどがある自転車の性質から生じたものである場合には、万一損害が生じてもその責任を航空会社が負わない条件での取り扱いになります。自転車の梱包の際には、傷がつきやすい部分や壊れやすい変速機などには、クッション材を巻くなどの対応があると安心です。
■実際の「輪行」でのチェックインの時間や料金は?
預ける荷物は、スーツケース1個と自転車1台。行きの便は、羽田発/松山行きの7時15分発。羽田空港6時15分に到着、これは遅すぎました。チェックインカウンターでは20人ほどの列。同じ大会に参加する人も見受けられ、同様に自転車を預けている様子。自分のチェックインまで、ハラハラドキドキしてしまいました。事前の準備を整えていたため、チェックインカウンターでの空港保安検査員の検査はとてもスムーズでした。6時50分にチェックイン完了でギリギリでした。輪行の場合、1時間半〜2時間前に空港に到着すべきでした。預ける荷物は、2つで19.5kgで、こちらもギリギリ無料範囲内で収まりました。
帰りの便は、かなり余裕をもって松山空港に到着し、チェックイン。預ける荷物は、行きと同じですが、お土産や濡れた洗濯物(バイクジャージなど)があり、スーツケースと自転車をあわせ、20kgをオーバー。1kgオーバー分の2,500円を支払うことに。あわせて、従価料金も支払いました。価格40万円の自転車ということで、15万円を超える部分の25万円に対し、従価料金は250円でした。
■ANA協賛「サイクリング しまなみ 2022」 4年ぶりに開催
瀬戸内海・しまなみ海道の絶景の中を走る、大人気サイクルイベント「サイクリング しまなみ 2022」が、愛媛県今治市・広島県尾道市で10月30日(日)に開催され、約6,300人のサイクリストが参加しました。距離別に30kmから140kmまで8つのコースがあり、初心者でも参加しやすい大会で、普段は走ることができない高速道路も楽しめるコース設定です。
航空会社ではANAが協賛企業として、大会をサポート。補給ポイントやゴール会場では、ふだん機内で提供されるスープや飴が、参加者に振る舞われました。また、イベント会場では、ANAブースが出展され、地域創生を掲げるANAあきんど松山支店による、提携する石丸農園の蛇口からみかんジュースやオリジナルサイクルボトルなどが販売されていました。
今治と尾道の島々をつなぐ橋にサイクルロードが整備され、サイクリストにとって楽園のような「しまなみ海道」。大切な自転車を「輪行」して訪れてみてはいかがでしょうか?
今治へは松山空港、尾道へは広島空港が便利です。ANAでは、羽田・伊丹・中部・那覇から松山空港へ、羽田・新千歳・那覇から広島空港へ直行便が就航しています。