2019年まで運用していたボーイング747-400型の日本政府専用機が、ロケット打ち上げ機に改造され、日本に帰ってくるかもしれません。衛星打ち上げサービスを提供するヴァージン・オービット社の打ち上げ機として、旧政府専用機の改造が進んでいるようです。
ヴァージン・オービット社では、航空機にロケットを搭載し、空中から水平に打ち上げる方式を採用しています。具体的には、打ち上げ用に改造した747-400型機「機体記号：N744VG(通称：コズミック・ガール)」に、人工衛星を積み込んだ「ランチャー・ワン」と呼ばれるロケットを主翼に搭載。離陸後、高度1万メートルの空中で、搭載されたロケットを切り離します。さらにロケットのエンジンによって、人工衛星を宇宙へ打ち上げます。
この新たな打ち上げ機に、旧政府専用機として活躍した747-400型機に白羽の矢が立つことになったようです。すでに、ヴァージン・オービットはアメリカ・アリゾナ州ピナル空港にて旧政府専用機と思われる写真を掲載。さらにアメリカの防衛・宇宙テクノロジー企業 L3ハリス・テクノロジーズ社が改造を行うことを伝えていました。旧政府専用機の2機「20-1101」「20-1102」が、L3ハリス社名義の「N7474C」「N7477C」として、2023年1月に機体登録を行なっています。
747-400は、4つのエンジンを備える大型機ですが、主翼にエンジンをもう一つ装着し、エンジンを輸送することができるオプション機能があります。コズミック・ガールも主翼にロケットを搭載できるように、改造が行われています。
コズミック・ガール「N744VG」は、2001年からヴァージン・アトランティック航空で15年間活躍した旅客機「G-VWOW」で、ロケットを打ち上げるための改造が行われました。直近の打ち上げは、2023年1月にイギリスで打ち上げ、無事ロケットの切り離しに成功しましたが、地球周回軌道への投入は失敗に終わっています。これまで、2020年5月から計6回の打ち上げが行われ、4回の成功をおさめています。
日本では、大分空港がヴァージン・オービットと提携し、ロケット打ち上げ計画が進んでいます。要人輸送を担った旧政府専用機が、華麗なる転身を遂げ、ロケット打ち上げ機として活躍する姿が日本で見られるかもしれません。
