日本航空(JAL)は、ボーイング777-200型機(トリプル200)の完全退役に向け、2023年5月16日(火)出発の「退役後の渡米フェリーフライト」に乗れるツアーを発売しています。現在、3機のみが国内線で活躍する、ボーイング777-246ER型機のうちの1機「機体記号:JA701J」を使用。ツアーの申込受付は3月16日から26日23時59分まで、その後抽選で参加者が決定されます。最安値はエコノミークラス利用4日間で 577,200円から、最高値はビジネスクラス利用6日間で 992,000円です。
トリプル200は、1996年から導入を開始し、合計26機を導入しました。完全退役を前に、27年間活躍したJALトリプル200の歴史とその特別塗装機を振り返ります。
「トリプル200」の歴史を振り返る
- 総導入数 26機の歴史 -
■ 第1グループ 5機
1996年3月から1997年5月にかけ、国内線専用機として「JA8981」〜「JA8985」までの5機を導入。「STAR JET (スタージェット)」として各機に、シリウス、ベガ 、アルタイル、ベテルギウス、プロキオンと星の名が付けられ、機種部分に描かれました。2008年5月31日には、JJ統合の象徴、太陽のアーク塗装への塗り替えが進み最後の鶴丸機となった「JA8985」のラストフライトで注目を集めたことも。一貫して国内線で運航されましたが、2014年から退役が始まり、2020年には全機が姿を消しました。Pratt & Whitney (P&W) エンジン搭載機。
■ 第2グループ 7機
1996年12月から1999年5月にかけて、日本エアシステム(JAS)が導入したボーイング777-289型機「JA8977」〜「JA8979」、「JA007D」〜「JA010D」の7機。一般公募で機体デザインが決定した「レインボーセブン」の愛称で親しまれました。アーク塗装や鶴丸塗装を経て、長い期間運航されたグループです。2020年から退役が始まり、2022年に全機が退役。型式番号に刻まれたJASのカスタマーコード「89」以外にも、JAS時代の痕跡を探す楽しみがありました。P&Wエンジン搭載機。
■ 第3グループ 3機
2023年3月現在、運航中のトリプル200は「JA701J」「JA702J」「JA703J」の3機のみ。この3機は奇しくも、2002年度から初めて導入された国際線仕様「ER」型の1〜3号機。エグゼクティブクラス「SEASONS」を63席、全席個人用モニター付きのエコノミークラス239席を配した「W32」というコンフィギュレーションで中距離国際線で活躍。後に SKY SUITE III (ビジネス)、SKY PREMIUM (プレミアムエコノミー)、SKY WIDER (エコノミー) の3クラス制となり、2021年にビジネスとエコノミーのみの2クラス制として国内線に転用されました。GEエンジン搭載機。
■ 第4グループ 8機
2003年度から2005年度に導入された、ER型4号機以降「JA704J」〜「JA711J」の8機は、エグゼクティブクラス「SEASONS」でも、シェルフラットシートで56席、エコノミークラス210席を配した「W50」などのコンフィギュレーションで長距離国際線などで活躍。「JA709J」と「JA710J」が、ER型1〜3号機と共に国内線に転用されました。全機が退役済み。GEエンジン搭載機。
■ 第5グループ 3機
2003年5月導入の「JA771J」、2005年4月導入の「JA772J」、2007年5月導入の「JA773J」の計3機。新しい機体であることからか、特別塗装率が非常に高い最終グループでした。2021年から2022年にかけ、全機が退役。ERではない「無印トリプル」と一部では呼ばれたことも。 P&Wエンジン搭載機。
- 特別塗装機の歴史 -
トリプル200は、長年主力機として活躍しただけあって、特別塗装機(スペマ)の歴史も深い。第1グループ、5機の「STAR JET (スタージェット)」に始まり、さまざまな塗装機が登場しました。「たまごっち」「相武紗季」「嵐」「ディズニー」「サッカーワールドカップ」「TOKYO 2020」など、その時代で一世を風靡した人気のものたちが、機体を彩りました。歴代のJALトリプル200の計29枚の写真で、スペマを紹介します。
- 退役へ -
いずれも導入から20年以上が経過し、経年化が退役の一番の理由であることは明白。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大による航空需要の低下と、2020年12月に「JA8978」がエンジン不調で那覇空港に引き返すトラブル。その後、2021年2月に同じP&W社のエンジンを搭載したユナイテッド航空機のエンジン不調をきっかけに、世界的に同機種の運航が停止されるという事態に見舞われ、退役のスピードが上がったことも、また間違いないと思われます。
退役フライトに乗ることができるチャーター便には、どのような思いを胸に参加されるのか、みなさんの思いが気になるところです。
機体記号 | 型式番号 | 運用期間 | 状況 | JA8981 | 777-246 | 1996/02 〜 2014/06 | 抹消 |
---|---|---|---|
JA8982 | 777-246 | 1996/03 〜 2014/11 | 抹消 |
JA8983 | 777-246 | 1996/09 〜 2015/05 | 抹消 |
JA8977 | 777-289 | 1996/12 〜 2020/09 | 抹消 |
JA8984 | 777-246 | 1997/04 〜 2020/02 | 抹消 |
JA8985 | 777-246 | 1997/05 〜 2020/08 | 抹消 |
JA8978 | 777-289 | 1997/06 〜 2023/01 | 抹消 |
JA8979 | 777-289 | 1997/11 〜 2022/01 | 抹消 |
JA007D | 777-289 | 1998/04 〜 2022/03 | 抹消 |
JA008D | 777-289 | 1998/06 〜 2022/02 | 抹消 |
JA009D | 777-289 | 1998/09 〜 2022/01 | 抹消 |
JA010D | 777-289 | 1999/05 〜 2022/05 | 抹消 |
JA701J | 777-246/ER | 2002/07 〜 | 運用中 |
JA702J | 777-246/ER | 2002/09 〜 | 運用中 |
JA703J | 777-246/ER | 2003/02 〜 | 運用中 |
JA771J | 777-246 | 2003/05 〜 2022/06 | 抹消 |
JA704J | 777-246/ER | 2003/05 〜 2021/10 | 抹消 |
JA705J | 777-246/ER | 2003/07 〜 2022/04 | 抹消 |
JA706J | 777-246/ER | 2003/12 〜 2021/05 | 抹消 |
JA707J | 777-246/ER | 2004/04 〜 2022/04 | 抹消 |
JA708J | 777-246/ER | 2004/06 〜 2022/04 | 抹消 |
JA709J | 777-246/ER | 2004/09 〜 2022/12 | 抹消 |
JA772J | 777-246 | 2005/04 〜 2022/11 | 抹消 |
JA710J | 777-246/ER | 2005/07 〜 2022/10 | 抹消 |
JA711J | 777-246/ER | 2005/08 〜 2022/12 | 抹消 |
JA773J | 777-246 | 2007/05 〜 2021/12 | 抹消 |