ボーイングは2023年7月25日、アメリカ航空宇宙局(NASA)と開発を進める持続可能な実証機プロジェクト「サステナブル・フライト・デモンストレーター(SFD)」について、研究機「X-66A型機」の塗装デザインと共に、進捗を明らかにしました。
研究機「X-66A」は、カリフォルニア州パームデールのボーイング施設で製造される予定。種機となるのは、ナローボディ(単通路)機MD-90-30型です。ボーイングが所有するMD-90「機体記号:N930TB」「N931TB」を使用し、胴体の短縮や翼やエンジンの取り外しなどの改造が加えられる予定です。「N930TB」はデルタ航空で、「N931TB」は中国北方航空・中国南方航空・デルタ航空で運航されていた機齢25年前後の機体。初飛行はカリフォルニア州エドワーズ空軍基地にある“NASAアームストロング飛行研究センター”で、それぞれ2028年と2029年に予定されています。
「X-66A」の機体構造はこれまで明らかとなっている通り、「遷音速トラス支持翼(Transonic Truss-Braced Wing、TTBW)」を備えており、マッハ1前後の遷音速で飛行することが可能です。TTBW機は、胴体上部から左右に配置された主翼を、胴体下から支える三角形の骨組み構造。これにより主翼を薄く長くすることが可能となり、現代の航空機よりも燃料とCO2の排出量を30%削減することができます。
今後、同プロジェクトには、アラスカ航空・アメリカン航空・デルタ航空・サウスウエスト航空・ユナイテッド航空も参加。運航に関する意見を提供するほか、これら航空会社のパイロットは「X-66A」のシミュレーターを操縦し、評価が行われる予定です。