那覇空港を拠点に航空機整備を行うMRO Japanでは、航空機の整備以外にも担当している業務があるそうです。普段は旅客機をメインに整備やメンテナンスを行なっている整備員が、実は自衛隊機も取り扱っているのです。その意外な取り組みを紹介します。
■前回までの記事
飛行機の安全を支えるMRO Japan、航空機の重整備に潜入〜どんな作業が?!【Part1】
飛行機の安全を支えるMRO Japan、整備員のキャリアパスは?!【Part2】
■自衛隊の洗機も担当
MRO Japanでは2021年より航空自衛隊のF-15戦闘機やT-4ジェット練習機、2023年より海上自衛隊のP-3C哨戒機の洗浄、車の洗車ならぬ“洗機”を担当しています。主に塗装整備部の整備員が、那覇基地へ足を運びF-15やP-3Cの機体洗浄を行っています。
自衛隊 那覇基地では近年南西諸島への防空任務の増加に伴い、“洗機”の一部をMRO Japanが担っているそうです。自衛隊那覇基地の担当する空域はほとんどが海上になり、高温・高湿度という地理的要因のため、運用する航空機に付着する塩を落とす特別な作業が必要。これまでに、航空自衛隊 那覇基地所属機だけで、1,000機の洗機を同社が引き受けています。
■展示機の塗装も担当
さらに、航空自衛隊 那覇基地内の退役した展示機の塗装も担当しています。基地内の駐車場広場に展示されているF-4EJ改戦闘機「機体記号:37-8321」、T-33A戦闘機(若鷹)「81-5327」、F-104J戦闘機「76-8688」、B-65連絡機「03-3095」の4機のうち、F-4とT-33Aの2機の再塗装をMRO Japanが行いました。当時の塗装を再現するように、過去の資料を研究し、その色を出すためにかなり苦労したそうです。
基地内にある展示機ですが、実は誰でもいつでも簡単に眺めることが可能です。ゆいレールの那覇空港駅と赤嶺駅の区間で、車窓より楽しむことができます。じっくり眺めたいという方は、年に数回開催される基地見学会や例年8月の「サマーフェスタ」12月の「美ら島エアーフェスタ」などの公開イベントで、見学できるチャンスがあるかもしれません。例年、同社では「美ら島エアーフェスタ」へのブース出展も行っています。
航空機整備の専業会社「MRO Japan」は、整備士の人材育成や沖縄地域に根ざした取り組みも行なっているマルチな会社でした!
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