世界の航空会社などでは、塗装による機体の軽量化やより高効率なエンジンの開発・採用など、飛行機の燃費改善のために様々な取り組みが行われています。そんな中、“サメ肌“のようなフィルムを機体に貼りつけるという、一風変わった手法で燃費削減を目指している航空会社や企業があります。
ドイツのルフトハンザ・テクニークは、「AeroSHARK」と呼ばれるサメの肌に着想を得たフィルムを開発しました。このフィルムには、「リブレット」と呼ばれるごく小さな鱗状の突起があり、これを航空機の胴体やエンジンナセルに装着することで摩擦抵抗が減り、燃料消費量が減少します。ルフトハンザ・テクニークによると、「AeroSHARK」装着により、燃料効率が1%向上し、年間約500万トンの消費燃料が削減できるとのことです。
この「AeroSHARK」は2019年からルフトハンザグループ各社の長距離機材に装着を開始。現在、ルフトハンザドイツ航空のボーイング747-400型機や777F型機、スイスインターナショナルエアウェイズの777-300ERに装着されています。さらに、2024年12月からはオーストリア航空の777-200ER型機に「AeroSHARK」が施される予定です。
ルフトハンザグループ以外の会社への採用も始まっており、2024年8月にはエバー航空の777F「機体記号:B-16786」に「AeroSHARK」が装着されています。アジアの航空会社では初のことで、今後同社が運航する9機の777F全機に「AeroSHARK」が装着されます。
日本でも、航空機に“サメ肌”を施す取り組みが実施。全日本空輸(ANA)では特別塗装機「ANA Green Jet」の機体側面と上部に“サメ肌”フィルムが貼られています。また、日本航空(JAL)のボーイング737-800型機「JA331J」の胴体下部には、フィルムではなく既存の塗膜上に直接“サメ肌”加工が施されています。
各社共に、これらの“サメ肌”技術による燃費改善など、CO2排出量削減に向けて様々な取り組みを実施。今後、より多くの航空会社に“サメ肌”技術が拡大していくものとみられます。