航空自衛隊小松基地(石川県小松市)は、2024年9月23日(月・祝)に「令和6年度小松基地航空祭」を開催しました。前日に能登地方で発生した豪雨災害への対応のため、当初予定していたプログラムを一部変更。航空祭の最中にも同基地の救難ヘリコプター等が被災地に向けて飛び立つなど、災害支援を優先しながらの開催となりました。
災害派遣をまさに実施している中で“開催”か“中止”か。前日22日に下された決断は、規模および内容を変更しての「開催」でした。今年1月に発生した能登半島地震被害からの復興祈念をテーマに掲げていた今回の航空祭。「その思いに変わりはなく、地震および能登地方大雨の被害地の方々と寄り添い、ともに歩んでいきたい」との考えを基にした判断でした。
当日は早朝から小雨が降り、オープニングフライトはキャンセルに。その後のF-15戦闘機を運用する第303飛行隊、第306飛行隊の機動飛行は、航過飛行に変更となりましたが、雨も止み時おり晴れ間も見えはじめる中で、堂々とした飛行でした。
今回の航空祭の注目は、第303、306飛行隊がそれぞれ用意していたF-15特別塗装機。特に第303飛行隊は、今年3月に福井県敦賀まで延伸開業した北陸新幹線をモチーフにしたデザインで、航空祭前からその姿が話題に。機体には「ともにこえよう石川」のメッセージもあり被災地の人々に向けた隊員の思いが感じられました。
その後、航空祭では珍しく、午前中にブルーインパルスの展示飛行を実施。ブルーインパルスだけはプログラム変更はせず、展示飛行を実施する予定でしたが、飛行時間の上空に厚い雲がかかってしまい、残念ながら5区分……アクロバットなしのローパス系課目に。それでも時おり青空が見え、リーダーズ・ベネフィット、ポイントスター、フェニックスなどを実施し、参加者からは歓声が上がっていました。
午後からは救難隊による救難展示を実施。さらに、同基地の名物部隊である飛行教導群アグレッサーが登場し、F-15戦闘機2機が航過飛行を魅せました。迫力ある機動飛行がなくとも、派手な塗装のアグレス機の威圧感により、見応えのあるプログラムでした。
最後のクロージングフライトは、第303、306飛行隊のF-15がふたたび航過飛行を実施。単機で、2機編隊で、パターンを変えて、いく度も飛び、最後は午前中登場したスぺマ機を含め、部隊混合の大編隊飛行。場内アナウンスで「共に向かっていこう明日へ」というメッセージとともに能登方面に向けて飛ぶ姿は、来場者に感動を与えていました。
また、今回の航空祭では、特別に能登地方7市町の小中高生とその保護者ら60人を招待し、基地屋上に設けた特別観覧席での観覧が行われていました。無事に開催された今回の航空祭が、参加した子どもたちの良い思い出になったのではないでしょうか。