「A380生産が2018年にも終了する可能性」があるとの一報を受け、A380の最大の顧客であるエミレーツが声を上げました。AirlineRatings.comで、エミレーツ航空のティム・クラーク社長は「A380は勝者だ」とし、ドバイ/ロンドン線の1日5便の搭乗率は95%と成功をアピールしています。
こうした状況に至った背景として、エミレーツ以外の他社はA380に新旧のサービスを取り入れていることと指摘しています。エミレーツはスイートにシャワーを装備、プライベートな空間としたファースト、さらにエコノミーまで各クラスで最新のプレミアム設備を導入しています。このうち、シャワーは他の航空会社に笑われたものの、実際は多くの顧客に支持されていると言います。
このため、ティム・クラーク社長は検討されているエンジンを換装したA380neoが発表されれば、140機は購入するだろうと強気のコメントを話しています。
エミレーツは12月10日にデリバリーされたA380を含め、56機を受領しています。エミレーツはA380を140機発注しており、今後84機を受領します。ただし、エミレーツのA380発注は群を抜いており、エミレーツに次ぐ発注機数は、ローンチカスタマーのシンガポール航空の24機です。これに次ぐ発注機数は、カンタス航空の20機、リース会社のドーリック、現在のアメデオ(Amedeo)も20機を発注しています。
エミレーツの機数はA380総発注318機のうち半数近くを占め、この機材の命運を握る重要なステークホルダーであり、エアバスはその意見を無視できないと見られますが、一方で流れはA350や787、777Xの中型機による長距離路線で需要にあわせて柔軟に運航する体制に、全体の傾向が傾きつつあります。エアバスは市場の動向と、大口顧客の意見との間でしばらく悩むこととなりそうです。