運輸安全委員会、徳島で発生したJAL機と車両のニアミスで報告書を発表

運輸安全委員会、徳島で発生したJAL機と車両のニアミスで報告書を発表

ニュース画像 1枚目:重大インシデント時の機体と作業車両との位置関係、運輸安全委員会の資料
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重大インシデント時の機体と作業車両との位置関係、運輸安全委員会の資料

運輸安全委員会は2016年8月25日(木)、2015年4月5日(日)に767-300の機体記号(レジ)「JA8299」が徳島空港で滑走路に車両が存在するところに着陸を試みた重大インシデントの報告書をまとめました。

この機材はJAL455便として羽田を出発、10時53分に徳島飛行場の滑走路29へ着陸許可を得て進入、滑走路進入端を通過後の10時58分ごろ、滑走路上に車両を発見、復行したものです。この便には、機長と乗務員7名、乗客59名、計67名が搭乗していましたが、負傷者はいませんでした。

報告書はこの重大インシデントは、徳島飛行場の管制所の飛行場管制席が作業車両の存在する滑走路への着陸を「JA8299」に許可したために着陸を試み、車両の上空を通過した位置は対地高度がおよそ12メートルだったとしています。

徳島飛行場管制所には当時、飛行場管制席と地上管制席の業務を兼務する航空管制員が、作業車両の存在を失念したことで発生したと考えられると指摘しています。忘れてしまう背景には、航空管制員が1名しか配置されておらず、他の出発機の滑走路選定に気をとられ、滑走路が離着陸に使用できない状態を示すリマインダーも使用していなかったことが絡んだとしています。

再発防止策として、海上自衛隊徳島教育航空群は関係者全員に、今回の事案の概要を説明し、飛行場立入りの留意事項を指導、同じ指導を毎年実施します。また、航空管制員が陥る可能性のある錯誤、失念などの教育などが行われました。

さらに、滑走路閉鎖状況の示すリマインダー使用を規定化し、航空機の運航時間中は原則、航空機の安全運航に必要な施設の維持管理に限り実施すること、飛行場内に立ち入る人員や車両と管制塔との無線交話要領を新たに定めています。

管制所内に航空管制員を最低でも2名以上を配置、維持する規定、一定期間の管制業務に従事し、必要な知識や技能を有することを確認した上で業務に従事させる規定も設けています。

なお、徳島飛行場は、海上自衛隊と民間機が共用する唯一の空港となっています。

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