会計検査院、F-35A調達状況を公表 価格上昇を定量的に把握できておらず

会計検査院、F-35A調達状況を公表 価格上昇を定量的に把握できておらず

ニュース画像 1枚目:航空自衛隊 F-35A
© Beth Steel
航空自衛隊 F-35A

会計検査院は2017年9月13日(水)、F-35A次期戦闘機の調達の状況について、国会と内閣への随時報告を行い、その内容を公表しました。F-35Aはアメリカ政府との有償援助(Foreign Military Sales:FMS)による調達で、米政府の示す条件を受けることで防衛装備品などが提供されており、アメリカ側の事情で提供内容や時期の変更、価格などの詳細な内訳の提示がなく、一般的な輸入による調達とは異なるため調達等の実施状況について検査したものです。

日本はF-35Aを42機導入する計画ですが、23中期防と26中期防で34機を契約する予定です。防衛装備庁は、このうち、2016年度までに計22機について契約を締結しています。契約額の総計は約6,256億円で、このうちFMS調達は約4,456億円、FMS調達以外は約1,799億円です。F-35Aの円建ての1機当たり本体価格は、FMS調達が行われた2012年度以降、円安に推移したことを主な要因として増加傾向にあるほか、2013年度以降に国内企業の製造への参画が開始され、これらが主な1機当たり本体価格の変動要因であるものの、価格上昇の要因を定量的に把握することができていない状況としています。

なお、納入されアメリカで訓練に使用しているF-35Aの4機は国有財産台帳に1機およそ121億円として登録しています。また、国内での機体の最終組立・検査に関連し、IHIと三菱電機は下請製造部品などに対応する機体への搭載に向け、防衛装備庁はアメリカ政府と調整し、国内企業の下請製造の工程を確認すべきでしたが、十分に行っていない状況で、国内企業が実施計画を作成しているものの整合性が取れておらず、下請製造部品に係る契約が締結されていない状況で、防衛生産・技術基盤の維持・強化について十分な効果は発現していないと指摘しています。

こうした点を受け、会計検査院は防衛装備庁に対し、アメリカ政府などと交渉などの対応を適時適切に執ること、国の財政事情を勘案しながら、適切に製造参画の範囲を検討、下請け製造の進捗が予定通りに進むよう調整することなどを指摘しています。

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