運輸安全委員会、朝日航洋ドクターヘリのハードランディングで報告書

運輸安全委員会、朝日航洋ドクターヘリのハードランディングで報告書

ニュース画像 1枚目:ハードランディングによる機体損傷、運輸安全委員会の事故報告書から
© 運輸安全委員会
ハードランディングによる機体損傷、運輸安全委員会の事故報告書から

運輸安全委員会は2017年11月30日(木)、2016年8月8日(月)に神奈川県秦野市内の場外離着陸場への着陸時、ハードランディングによる機体が損傷した航空事故について報告書を公表しました。この事故は、朝日航洋のBK117C-2、機体記号(レジ)「JA6917」のドクターヘリが当該箇所で傷病者の搬送のため、着陸した際に発生した事案です。

機体がハードランディングした理由は、基準に適合していることを確認した進入表面に沿った進入経路を使用せず、着陸予定地である場外近傍の高い鉄塔の上空を通過し、大きめの進入角、降下率で進入し、ホバリングに移行するために前進対気速度を減少させ、メイン・ローターがボルテックス・リンク・ステート(VRS)に陥りました。その際、機長がコレクティブ・ピッチ・レバー(CP)を操作して引き上げましたが、それに応じた揚力が得られませんでした。

朝日航洋は再発防止策として、VRS回避策に降下率の制限をもうけ、運航業務実施規則、作業別実施要領「緊急医療搬送」に規定、操縦士全員を対象にVRSの教育を実施し他ほか、2017年度のヘリコプター操縦士定期訓練に組み入れました。

さらに、ドクターヘリ運航時に臨時離着陸場の風の状況を消防機関から着陸前に入手することを規定、事故が発生した神奈川県では風の情報提供と吹き流しの設置を依頼し、他県でも同様の協力を依頼しています。全日本航空事業連合会のドクターヘリ分科会では、この事象と対策を報告し、ドクターヘリ運航業者で情報を共有しました。

なお、朝日航洋は報告書の公表を受け「今回の事象を真摯に受け止め、再発防止を徹底するとともに、引き続き安全運航に努めてまいります」として、この事案についてあらためて陳謝しています。当該機は2017年1月11日(土)付で、航空局に抹消登録が申請されています。

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