運輸安全委員会、最新版ダイジェストで非常脱出時の負傷事案を紹介

運輸安全委員会、最新版ダイジェストで非常脱出時の負傷事案を紹介

ニュース画像 1枚目:訓練用の脱出スライド
© 運輸安全委員会
訓練用の脱出スライド

運輸安全委員会は、2017年12月21日(木)発行のダイジェスト第26号で、「非常脱出時の脱出スライド使用における負傷等について」を扱っています。これは同日付の事故報告書で、2016年2月23日(火)に発生した日本航空(JAL)の新千歳発福岡着JAL3512便の航空事故で脱出した乗客が骨折するなど重傷、軽傷者が発生したことを受け、乗客へ広く安全性への理解を図る取り組みです。

運輸安全委員会の前身の航空事故調査委員会が1974年に発足して以来、これまでおよそ1,500件の航空事故等調査報告書を公表しており、このうち14件で脱出スライドを使った非常脱出を実施し、うち13件で乗客が負傷しています。

脱出スライドを使う事故はオーバランや滑走路逸脱、エンジンやバッテリー不具合による火災がそれぞれ4件、燃料やオイル漏れ、ハードランディングが2件ずつ、その他が2件となっています。14件の重傷者は34名で、このうち胸椎、腰椎や骨盤などの骨折が27名となっています。脱出スライドの展開場所が、滑走路・誘導路・スポットと地面の硬い場所であったことが要因になっているとみられます。

こうした事案がある中、2007年に那覇空港でチャイナエアラインの737-800、機体記号(レジ)「B-18616」が火災で機体が大破した事案は、乗客157名、乗組員8名、計165名は全員無事でした。この要因に、地上係員が早期に燃料漏えいが疑われる異常事態に気づき、自発的にスライド下につき、乗客の援助にあたり、地面の硬いスポットでも負傷者を1人も出さない円滑な脱出につながったとしています。

JALの2016年2月の事案では、乗客が手荷物を保持し、乗務員の指示が脱出中の乗客に対し、適時に効果的に伝わらなかった可能性があり、乗客に広く緊急時の事案を伝え、安全情報の周知と、確実な理解と認識を促しています。

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