日本貨物航空、改善措置を提出 運航規模の見直しや747-8Fへ統一

日本貨物航空、改善措置を提出 運航規模の見直しや747-8Fへ統一

日本貨物航空(NCA)は2018年8月17日(金)、事業改善命令と業務改善命令に対する改善措置を国土交通大臣に提出しました。NCAは日本時間6月16日の成田出発便から順次、運航を一時停止し、6月17日(日)の成田到着便ですべての運航を停止し、健全性の確認と耐空検査を受検しています。7月5日(木)に機体記号(レジ)「JA18KZ」で運航を再開、現在は保有する11機のうち2機が運航を再開しています。

NCAは社内調査委員会と、第三者の立場から監査を依頼した全日空(ANA)による検証などを経て、行政処分に至る背景や問題点について、(1)整備部門の背景要因に対する対策不足、(2)整備現業部門へのサポート不足、(3)不十分な厳重注意の対策の3点をあげています。

改善として、規模にみあう運航規模へ見直し、747-8Fへ1機種化して整備を含む生産体制に見合う運航規模を検討するほか、ANAと契約締結した戦略的業務提携に基づき、4月にANAから5名の人的支援を受け、整備スタッフ部門や整備現場の強化、さらに9月にANAからさらに3名の人的支援を受け、品質保証部門、技術部門、現業部門のマネジメントを強化します。

整備間接部門の技術管理、生産管理、品質管理の担当者各1名を現場に常駐させ、機能面からサポート体制を強化するほか、成田以外の空港での整備サポートのため、運航便が多い時間帯について、24時間体制で整備支援を行うメンテナンス・オペレーション・センター(MOC)の責任者を現行の1名から2名に増員します。

また、2016年10月に国交省から厳重注意を受けながら、効果が発揮されなかったことについては不適切な整備と整備記録の改ざん、隠ぺいの内容を全社で共有し、各部門でのグループディスカッションを通じ、全社で情報共有や意見収集を行うほか、社長や安全統括管理者が全部署と直接的な対話の機会を設け、安全意識とコンプライアンス意識の醸成を図ります。

さらに、耐空証明の検査受検は連続式から有効期間1年へと変更された対応として、速やかに実施する体制を構築します。機体構造の整備作業への対応は、NCA内で体制の再構築が完了するまでの間、香港のHAECOと台湾のEGATに委託し、迅速性の観点からANAの支援を受ける予定です。

調査で、行政処分に至る背景として、NCAは747-400Fのみの運航から、747-8Fの導入を進め、1機種に比べ整備業務量が増加し、機数も2011年度比で2016年度は約1.6倍となったものの、整備部門の人員数は微増にとどまり、運航規模に比べ整備部門の人員数が徐々に不足したことが背景要因として指摘されています。業務量が増加した環境の中、整備部門のマネジメント層・スタッフ部門が整備現業部門を組織的にサポートできず、現場からの信頼低下、独自判断・解釈を行う環境が醸成され、知識ある経験者へ意見が言えない組織風土が生まれ、整備記録の改ざん、隠ぺいにつながったとしています。

国交省から2016年10月に厳重注意を受けた件でも、問題発生の背景把握もふまえた対策が適切に行われていなかったことがあげられています。特に、役職員の安全意識とコンプライアンス意識の徹底は知識付与にとどまり、個々の実行動として定着させる施策がなされていませんでした。また、厳重注意に至る事象で個人が特定されることを過度に恐れ、具体的な事例共有が全社で行われず、全社員への情報共有、意見聴収が行われなかったことが指摘されています。

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