今この瞬間も日本全国、そして世界の空港でエアバスやボーイングの旅客機が活躍しています。その機体製造を支える、超大型の航空機が裏方として働いていたこと、ご存知ですか?その裏方の航空機として1965年8月31日、初飛行したのがエアロスペースラインズが改修したB-377スーパーグッピーです。ボーイングが製造したC-97ストラトフレイターをベースに、胴体上部が風船のように膨らんだ超大型輸送機で、5機が製造されました。2021年8月末現在、アメリカ航空宇宙局(NASA)が所有する1機が現役です。今回は、スーパーグッピーを皮切りに、これまで航空機製造の裏方として影で支える超大型機を振り返り、日本で見ることができる機体を紹介します。
スーパーグッピーは、ヨーロッパで分業体制を採用していたエアバスが4機を導入。当時はエアバスA300型やエアバスA320型として空を飛ぶ前の胴体部品、主翼などがヨーロッパ各地の拠点で製造。スーパーグッピーに搭載され、最終組み立てラインのあるフランス・トゥールーズ、ドイツ・ハンブルクに輸送されました。組み立てラインでそれぞれの部品が統合され、日本をはじめ、世界各地で見るエアバスの旅客機として仕上がっています。使用された4機のうち、トゥールーズとハンブルクの工場内に展示されています。
エアバスはスーパーグッピーの後継機としてA300-600ST型を開発。この機体は、「エアバス・ベルーガ」と呼ばれ、5機製造。その初飛行は1994年9月13日。機体の形状はスーパーグッピーと同じく、胴体上部を風船のように膨らんだ印象的な収納スペースを備え、左右の水平尾翼の端に垂直安定板が追加されています。1995年から運航を開始し、イギリス、スペイン、フランス、ドイツの工場をこれまで25年に渡り、結んでいます。
現在、ベルーガからA330-200貨物機をベースとした「ベルーガXL」へ機種更新が進められています。ベルーガはエアバスが製造する大型機のA350主翼を1枚搭載できますが、ベルーガXLは2枚搭載でき、搭載能力が増強。これにより、エアバス全体の製造能力の向上が期待されています。
機体製造を支える超大型機はエアバスだけでなく、ボーイングではボーイング747ドリームリフターを使い、世界各地で製造した部品をアメリカに輸送しています。日本では、超大型輸送機のドリームリフターを見る機会があります。ボーイングが787ドリームライナーの製造にあたり、三菱重工・大江工場の「複合材主翼センター」から787の主翼が製造され、中部国際空港(セントレア)まで船で輸送。セントレアでドリームリフターに積み込まれています。
こちらはボーイング747-400旅客機をベースとしています。747は胴体前方が2階建てですが、それをさらにひと回り大きくした胴体が採用されています。主翼積み込み時は、機体後部が空き、787の主翼や胴体などを積み込むことができます。セントレアでは、この主翼積み込み作業の様子を見ることができる可能性もあります。
さらに、セントレアにはアントノフAn-124ルスランも飛来し、787ドリームライナーの部品をアメリカに輸送しています。アントノフはヘリコプターの納入時にも使用され、日本に運んで来ることもあります。あなたの乗った機体は、どの裏方の超大型貨物機が輸送して製造されたか、考えてみるとより飛行機の世界が面白くなってきませんか?