古今東西、旅客機の製造を裏で支える超大型輸送機

古今東西、旅客機の製造を裏で支える超大型輸送機

ニュース画像 1枚目:アメリカNASAで現役のスーパーグッピー「N941NA」
© NASA
アメリカNASAで現役のスーパーグッピー「N941NA」

今この瞬間も日本全国、そして世界の空港でエアバスやボーイングの旅客機が活躍しています。その機体製造を支える、超大型の航空機が裏方として働いていたこと、ご存知ですか?その裏方の航空機として1965年8月31日、初飛行したのがエアロスペースラインズが改修したB-377スーパーグッピーです。ボーイングが製造したC-97ストラトフレイターをベースに、胴体上部が風船のように膨らんだ超大型輸送機で、5機が製造されました。2021年8月末現在、アメリカ航空宇宙局(NASA)が所有する1機が現役です。今回は、スーパーグッピーを皮切りに、これまで航空機製造の裏方として影で支える超大型機を振り返り、日本で見ることができる機体を紹介します。

ニュース画像 1枚目:スーパーグッピー、現在は博物館の中で展示 (Hikobouzさん撮影)
© FlyTeam Hikobouzさん
スーパーグッピー、現在は博物館の中で展示 (Hikobouzさん撮影)
ニュース画像 2枚目:スーパーグッピーのベース機、ボーイング377 ストラトクルーザー (Y.Todaさん撮影)
© FlyTeam Y.Todaさん
スーパーグッピーのベース機、ボーイング377 ストラトクルーザー (Y.Todaさん撮影)

スーパーグッピーは、ヨーロッパで分業体制を採用していたエアバスが4機を導入。当時はエアバスA300型やエアバスA320型として空を飛ぶ前の胴体部品、主翼などがヨーロッパ各地の拠点で製造。スーパーグッピーに搭載され、最終組み立てラインのあるフランス・トゥールーズ、ドイツ・ハンブルクに輸送されました。組み立てラインでそれぞれの部品が統合され、日本をはじめ、世界各地で見るエアバスの旅客機として仕上がっています。使用された4機のうち、トゥールーズとハンブルクの工場内に展示されています。

ニュース画像 3枚目:A300をベースにしたベルーガ (Hikobouzさん撮影)
© FlyTeam Hikobouzさん
A300をベースにしたベルーガ (Hikobouzさん撮影)

エアバスはスーパーグッピーの後継機としてA300-600ST型を開発。この機体は、「エアバス・ベルーガ」と呼ばれ、5機製造。その初飛行は1994年9月13日。機体の形状はスーパーグッピーと同じく、胴体上部を風船のように膨らんだ印象的な収納スペースを備え、左右の水平尾翼の端に垂直安定板が追加されています。1995年から運航を開始し、イギリス、スペイン、フランス、ドイツの工場をこれまで25年に渡り、結んでいます。

ニュース画像 4枚目:更新されより多くの部品を輸送できるようになったベルーガXL
© AIRBUS
更新されより多くの部品を輸送できるようになったベルーガXL
ニュース画像 5枚目:ベルーガXLの製造にあたりベルーガが部品を輸送
© AIRBUS
ベルーガXLの製造にあたりベルーガが部品を輸送

現在、ベルーガからA330-200貨物機をベースとした「ベルーガXL」へ機種更新が進められています。ベルーガはエアバスが製造する大型機のA350主翼を1枚搭載できますが、ベルーガXLは2枚搭載でき、搭載能力が増強。これにより、エアバス全体の製造能力の向上が期待されています。

ニュース画像 6枚目:セントレアから離陸するドリームリフター (pinama9873さん撮影)
© FlyTeam pinama9873さん
セントレアから離陸するドリームリフター (pinama9873さん撮影)

機体製造を支える超大型機はエアバスだけでなく、ボーイングではボーイング747ドリームリフターを使い、世界各地で製造した部品をアメリカに輸送しています。日本では、超大型輸送機のドリームリフターを見る機会があります。ボーイングが787ドリームライナーの製造にあたり、三菱重工・大江工場の「複合材主翼センター」から787の主翼が製造され、中部国際空港(セントレア)まで船で輸送。セントレアでドリームリフターに積み込まれています。

ニュース画像 7枚目:名古屋で製造された主翼を積み込み、アメリカの工場へ輸送 (リリココさん撮影)
© FlyTeam リリココさん
名古屋で製造された主翼を積み込み、アメリカの工場へ輸送 (リリココさん撮影)

こちらはボーイング747-400旅客機をベースとしています。747は胴体前方が2階建てですが、それをさらにひと回り大きくした胴体が採用されています。主翼積み込み時は、機体後部が空き、787の主翼や胴体などを積み込むことができます。セントレアでは、この主翼積み込み作業の様子を見ることができる可能性もあります。

ニュース画像 8枚目:セントレアに飛来するAn-124ルスラン (SHINYA@NATIONALCARGOさん撮影)
© FlyTeam SHINYA@NATIONALCARGOさん
セントレアに飛来するAn-124ルスラン (SHINYA@NATIONALCARGOさん撮影)
ニュース画像 9枚目:An-124ルスランへの超大型貨物の搭載作業 (delawakaさん撮影)
© FlyTeam delawakaさん
An-124ルスランへの超大型貨物の搭載作業 (delawakaさん撮影)

さらに、セントレアにはアントノフAn-124ルスランも飛来し、787ドリームライナーの部品をアメリカに輸送しています。アントノフはヘリコプターの納入時にも使用され、日本に運んで来ることもあります。あなたの乗った機体は、どの裏方の超大型貨物機が輸送して製造されたか、考えてみるとより飛行機の世界が面白くなってきませんか?

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