超音速旅客機「オーバーチュア」、新デザイン発表 アイアンバードで模擬飛行スタート

超音速旅客機「オーバーチュア」、新デザイン発表 アイアンバードで模擬飛行スタート

ニュース画像 1枚目:超音速旅客機「オーバチュア」 イメージ
© Boom Supersonic
超音速旅客機「オーバチュア」 イメージ

日本航空(JAL)が出資し、超音速旅客機開発を進めるブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic、以下ブーム)は2022年7月19日、2024年に製造を開始する「Overture(オーバーチュア)」の最新デザインと、部品サプライヤーとの協力を発表しました。オーバーチュアの客席は65〜80席の予定で、100%持続可能な航空燃料(SAF)の搭載、スピードはマッハ1.7、航続距離は4,250海里(約7,900km)の実現をめざしています。このスペックは、ソフトウェア設計、5つの風洞試験、51の反復設計を経て、経済や環境面も含め持続可能なことが検証されます。さらに大型の試験機を使い、油圧操縦リグ装置(通称:アイアンバード)で胴体や翼の耐久性、強度など実際の飛行時に想定される圧力を再現し、地上での検証「模擬飛行試験」を重ねる予定です。

新デザインを見ると、エンジンは主翼下に4基、搭載されます。エンジンは騒音低減とコスト削減につながる工夫が取り入れられます。特に、離陸時には、世界初の自動ノイズリダクションシステムにより、旅客機ではアフターバーナーを使用せず、世界各地の空港周辺の厳しい騒音規制に準拠します。

ニュース画像 1枚目:主翼下にエンジンが懸架
© Boom Supersonic
主翼下にエンジンが懸架

また、超音速飛行時の抗力を最小限に抑え、燃料効率を最大化するため、胴体直径は前方が大きく、後方が小さくなっています。主翼は、亜音速、遷音速、超音速のどのようなスピードでも安全性と安定性を重視した形状が採用されています。かつてのコンコルドは無尾翼でしたが、オーバーチュアは主翼と尾翼があります。機体全体に金属より軽く、強さ、熱に耐性があり、安定した性能を発揮できる炭素繊維材を取り入れています。

ニュース画像 2枚目:オーバチュア、上から見た外観
© Boom Supersonic
オーバチュア、上から見た外観

こうした設計の決定を受け、ブレーキや着陸装置はサフラン、防氷やデータシステムはコリンズ・アエロスペース、SAF燃料と不活性化システムではイートンから部品供給を受ける契約を締結しています。それぞれの専門分野の知見を取り入れながら、オーバーチュア1機目を2024年に製造開始し、2026年に初飛行する予定です。

ニュース画像 3枚目:オーバチュア 巡航時 イメージ
© Boom Supersonic
オーバチュア 巡航時 イメージ
ニュース画像 4枚目:オーバチュア胴体
© Boom Supersonic
オーバチュア胴体
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