アメリカ航空宇宙局(NASA)の高高度研究プログラムに使用されているWB-57Fキャンベラ(機体記号:N926NA)が2022年7月26日、三沢基地に飛来した模様です。このキャンベラは、ヒューストン・エリントンフィールド空港を拠点としており、今回はアラスカのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地、アリューシャン列島のアダック空港を経て、三沢に飛来しました。
WB-57Fキャンベラは、イングリッシュ・エレクトリック社が1949年に初飛行させた「キャンベラ」をベースに、マーティン社(現在のロッキード・マーティンの母体企業の1つ)が製造したB-57キャンベラを改造しています。イギリスとオーストラリアで940機超、アメリカで400機超が製造され、現役機は今回、三沢に飛来したものを含め、NASAが運用する3機のみです。
この機体は、NASAの中でもジョンソン宇宙センター(JSC)所属で、宇宙と関連した任務を手がけています。最近では、スペースXやはやぶさ2など、有人・無人を問わず宇宙船の地球再突入時の飛行環境のデータ収集を目的に高高度での空中撮影を行なっています。撮影された画像は、宇宙船の実際の飛行環境を捉えたデータとして、設計仕様の改善などに活用されています。宇宙船の設計時は、ソフトウェアツールや風洞試験を繰り返し、表面の熱保護システムや熱シールドが作られていますが、実際の地球の環境でどのような状態か画像から確認し、より安全性の高いものに進化する取り組みが続けられています。
WB-57Fは高度6万フィート(約18,000m)まで飛行でき、高高度を飛行する場合は宇宙服と同様のスーツをパイロットは装着します。また、NASA向けに改造されたWB-57は主翼の翼幅は38メートルと、胴体全長20メートルより長いことが特徴です。