アメリカ特殊作戦司令部(SOCOM)は、太平洋地域での潜在的な脅威に備えて、2021年から空軍特殊作戦軍司令部(AFSOC)と水陸両用機の開発計画を進めています。これは、AFSOCが運用するC-130Jハーキュリーズをベースとした、MC-130J特殊作戦輸送機を水上でも離発着できるように改造する計画。MC-130Jの輸送力を維持しつつ、取り外し可能なフロートを開発しています。地球の約71%を占める海上で着水できる能力を持つことは、軍に大きな柔軟性をもたらすこととなるため、SOCOMはこの開発計画を推し進めています。
2023年5月9日にアメリカ・タンパで開催された「特殊作戦部隊 SOF Week」のなかで、現地複数報道によると、SOCOMの幹部は「水陸両用機の開発計画について、日本と提携することでこの計画を推進したい」と話しました。2021年から始まった開発計画は、必ずしもスムーズとは言えず、初飛行は当面先になるともコメント。すでに水陸両用機を開発・製造、また運用している日本と提携し、経験を学びたいとしています。SOCOMではすでに2021年と2022年に、海上自衛隊のUS-2を視察しています。
日本では1976年から海上自衛隊によって、新明和工業が製造するUS-1型救難飛行艇の運用を開始。2007年からは、後継機となるUS-2型救難飛行艇を7機運用しています。海上での離着水と、陸上での離着陸が可能で、主に海難救助や、東京都・小笠原諸島から羽田空港等への急患輸送で活躍しています。
機体が小さいことや、ハッチが機体側面に設置されていることなどから、SOCOMがこのUS-2を実際に導入することは明言していません。あくまでも、MC-130Jによる水陸両用機の開発計画を進める方針ですが、導入の可能性に含みを持たせ、日本と協力関係を構築するとしています。