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空自隊員死亡した米でのT-38C墜落事故、エンジン最低出力の認識不足

© Randy Martin, 12th Flying Training Wing Public Affairs
T-38C タロン イメージ

アメリカ空軍は、2021年2月19日(金)に発生した練習機T-38Cタロンの墜落事故について調査報告を発表しました。この事故では、アメリカに派遣されていた航空自衛隊の隊員がアメリカ空軍の教官と共に死亡しています。事故の直接の要因は、エンジンを長時間最低出力にしていた状況を、教官操縦士が認識欠如し、回復不能な状況に陥ったと推定しています。

事故機は、T-38Cタロンの「68-8099」です。当日は、ミシシッピ州コロンバス空軍基地を離陸し、モンゴメリー空港を経由し、最終目的地のフロリダ州タラハシー空港へ向かう飛行計画でした。このフライト途中、モンゴメリー空港へ着陸のため滑走路へ進入する際、事故が発生しました。

進入時に、教官操縦士は飛行経路を修正するため、旋回途中で針路の修正を指示。さらに、適正な速度に減速するよう指示。学生操縦士は、減速のため両方のエンジンの出力設定を最低出力に変更して進入を継続していました。その状況から、過度な降下率と速度低下を認識した教官操縦士は、原状回復を試みたものの、当該機は降下を続け、滑走路進入端から約600メートルの地面に衝突しました。飛行速度は、時速にしておよそ10キロから30キロ程度、進入時に足りなかったと模様です。

報告書は、学生操縦士が減速のためエンジン出力設定を長時間、最低出力にしたことへの状況認識が教官に欠如し、当該機が危険な状況に陥っていたものの、適切な時期に必要な措置ができなかったと見ています。学生操縦士も、飛行経路の修正操作に追われ、実施すべき事を顧みる余裕を失い、速度低下、高度不足、降下率の増加により、安全ではない状況に陥ったと類推されています。

このフライトでは、学生操縦士がコロンバス空軍基地から他の基地、飛行場へ向かう初めての飛行でした。不慣れな飛行、さらに悪天候で訓練期間が空いていたことも、技術的な精度が落ちた遠因として報告書は指摘しています。なお、このT-38Cは座席の射出機能が搭載されていますが、教官、学生とも機能していたものの、調査で作動させる動きはなかったことが判明しています。

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