ガルーダ・インドネシア航空は、2025年5月から6月の一部日程で東京(羽田)~ジャカルタ線、東京(成田)~デンパサール線を運休すると発表しました。この理由が「大巡礼(ハッジ)期間中に多数の巡礼フライトを運航する」ため、というもの。「巡礼フライト」というのは、日本ではあまり聞きなじみがないものですが、一体どのようなものなのでしょうか。
インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を有する国家。イスラム教には「ハッジ」という、「巡礼月」と呼ばれる特定の期間に、一生に一度はサウジアラビア・メッカへ巡礼しなければならないという教えがあります。「巡礼月」に合わせ、毎年多くのイスラム教徒がメッカへ向けて移動するため、インドネシアなどイスラム圏の航空会社では「ハッジ」に伴うチャーター便の運航が行われています。
インドネシアのフラッグキャリアであるガルーダ・インドネシア航空も、毎年巡礼月の前後に当たる5月から9月頃にかけて「巡礼フライト」を多数運航。インドネシア各地とメッカの最寄りであるジェッダやメディナを結んでいます。同社によると、昨年は累計で10万人以上が「巡礼フライト」を利用したとのことです。
ここまで多くの利用客があると問題となるのが、使用する機材。同社は自社で保有する機材に加え、「巡礼フライト」の運航期間中限定で、ボーイング777シリーズやA330ファミリーなどのワイドボディ機を10機程度ウエットリースしています。ごく短期間でしか運航されないため、機体記号もリース元のマルタやスペインなどのものをそのまま使用。一方で、塗装については簡易的ながらガルーダ・インドネシア航空仕様のものになることがあります。また、過去にはボーイング747-400型機やエアバスA340型機といった、同社が運航を終了したり、自社機として導入した実績がない機種が充当されたことも。スポッター的な目線で見ると、「ハッジ」期間は貴重な塗装や機体を見ることができるチャンスであるともいえます。
他社から機材を借りなければいけないほど需要が大きい「巡礼フライト」。日本路線にも機材繰りの関係で運休が出るほどに、「巡礼フライト」はガルーダ・インドネシア航空にとっては“一大イベント”であるといえます。日本路線の運休日程については以下の通りです。
■ガルーダ・インドネシア航空 大巡礼(ハッジ)に伴う運休日程
<東京(羽田)~ジャカルタ>
GA875便 2025/5/20,25,6/1,7,15,17,24
GA874便 2025/5/19,24,31,6/6,14,16,23
<東京(成田)~デンパサール>
GA881便 2025/5/15,17,21,22,24,28,29,31,6/11,12,14,18,19,25,26,28
GA880便 2025/5/15,17,21,22,24,28,29,31,6/11,12,14,18,19,25,26,28