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浜松救難隊所属UH-60Jの墜落、機長の空間識失調と偶然が重なる

© 航空自衛隊
事故機と同型のUH-60J

航空幕僚監部は2018年2月14日(水)、浜松救難隊所属UH-60Jの墜落事故の調査結果を発表しました。この事故は2017年10月17日(火)、浜松基地の南約31キロメートルの洋上で18時2分ごろに発生したもので、事故機は「58-4596」でした。

事故機は17時51分、浜松基地の南洋上で乗組員装着型夜間暗視装置(NVG)を使用した夜間飛行訓練のため、17時51分に離陸しました。この直後の18時2分ごろ、管制機関のレーダー航跡モニター画面から事故機の航跡が消失し、救難活動が開始されています。事故後の水中捜索などで、事故機からフライトデータレコーダ、コクピット・ボイス・レコーダの一部が発見、収容されています。

事故に至る推定を含む経緯は、離陸後に高度およそ1,000フィートで洋上を飛行中、進路上に雲を視認し、機長がNVGで雲を視認しつつ、これを避けるため高度500フィートへ降下しようと操作しました。

当日は月明かりがない暗夜で、雲下に降りる付近で光量不足のためNVGの視認性が低下し、表示が若干遅れる特性の昇降率計を見て、実際に降下する機体と機長の感覚にズレが生じる空間識失調に陥り、過大な降下率のまま降下を継続しました。

機内では副操縦士が降下する過程で飛行諸元を確認せず、機長へ安全確保の助言がなく、他の乗組員2名は機外の見張りができていたか不明なものの、機長への助言はありませんでした。海面へ衝突する直前の約250フィートで高度警報が鳴っていたものの、機長が偶然にも発話中であり、警報への適切な反応がなく、降下開始からおよそ45秒後に海面へ衝突しました。

空自の航空事故調査委員会は主な原因として、(1)空間識失調の影響による機体の高度や降下率など飛行諸元の確認が不十分な状態、(2)乗組員間で正しい連携がなかったこと、(3)電波高度警報の確認と対応が適切になされなかった点を指摘しています。

再発防止策は、飛行にかかわる基本操作、乗組員の連携要領、電波高度警報への対応要領を教育で再徹底することに加え、NVGの運用要領の見直し、昇降率計の表示遅延を是正する措置をとる方針です。

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