2016年帰国旅行2便目- いわくつきのエミレーツ以遠権ルート - エミレーツ航空 口コミ・評価

航空会社 エミレーツ航空

2023年06月18日に撮影されたエミレーツ航空の航空機写真

© ANA744Foreverさん

IATA | ICAO
EK | UAE

搭乗レビュー
2016年帰国旅行2便目- いわくつきのエミレーツ以遠権ルート

航空会社
エミレーツ航空
便名
EK206
エコノミー
搭乗日
2016/03
路線
JFK(ニューヨーク) → マルペンサ(ミラノ)
機体記号
A6-EDA
機材
Airbus A380-861
総評:5
5ッ星
機内食・ドリンク
5ッ星
座席(シート)
5ッ星
機内スタッフサービス
5ッ星
エンターティメント
5ッ星
トイレ・洗面台
5ッ星
機材コンディション
5ッ星
地上サービス
5ッ星
口コミ投稿者
MaplecroftInnkeeperさん
アクセス数
1,174
投稿日
2016/03/30

搭乗写真

  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    おでこの広いA380。これからいよい... 続き
  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    機内の様子。淡いピンク色の照明が印象... 続き
  • 写真の種類:座席(シート)
    シートピッチは十分あります。モニター... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    離陸から1時間半後くらいに出された夕... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    赤ワイン。2種類のワインがありました... 続き
  • 写真の種類:トイレ・化粧台
    木目調が特徴のトイレ。シンクはまん丸... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    カメラは機体前方、下、後方の3ヶ所に... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    到着2時間前に出た朝食です。この距離... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    ミラノ到着の少し前に、後方ドアの窓か... 続き
  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    湿度計が11.5%を指しています。や... 続き

総評

エミレーツの歴史は、1959年に政府がドバイ空港での地上サービスに、たった5人の職員でdnataという会社を創設したのが始まりと言われています。このエミレーツの系列会社は今では、機内食のケータリングから、ラウンジの運営、貨物運輸、旅行商品の販売まで世界中で幅広く活動する大会社に成長しているようです。

しかし実際のエアラインの誕生は、1980年代になって、当時地域で力を持っていたガルフ・エアが、ドバイへのフライトを削減して協定違反を犯したのがきっかけでした。当時36歳だった若いドバイ首長国の首長(アラブ首長国連邦の現副大統領)のシーク・モハメッドはそれに怒りを感じてガルフ・エアのドバイ事務所閉鎖に走り、自分たちのエアラインを設立してドバイを国際的な航空ハブにするんだというビジョンを持って、1978年からdnataの専務をしていたモーリス・フラナガン(元ブリティッシュエアウェイズ)を社長に抜擢し、自費で1,000万ドルを出資して新エアラインを設立しました。(フラナガン氏は去年の5月に86歳で亡くなっています。)

そして1985年10月25日、エミレーツはパキスタン航空からB737とA300の2機をリースして、ドバイからカラチまでの初フライトEK600を飛ばし、正式に航空会社が誕生したのです。翌年には、アンマン、カイロ、コロンボ、ダッカなどにネットワークを広げ、A310も導入されました。その後1989年には、さらにバンコク、マニラ、シンガポールなどのアジア路線にも手を広げ、目覚ましい成長ぶりを見せます。1990年代初めの、イラクによるクウェート侵攻にもめげずに、エミレーツは成長を続け、1992年には全クラスに個人モニターを導入しました。また2000年には、世界で初めてA380を発注しました。その翌年の911事件で、世界の航空会社がこぞって引き締め政策に向かったにもかかわらず、エミレーツはさらにA380をはじめ、大型機を多数発注して業界をアッと言わせました。そしてアメリカに就航したのは2004年。中東から初めての米国へのノンストップフライトとして、JFK便が就航しました。その時はA340-500で就航しましたが、2008年にはエミレーツ初のA380をこの路線に投入しました。日本へは、JALとのコードシェア便として、2002年にB777で関西空港に就航したのが始まりで、成田には2010年、羽田には2013年にそれぞれ就航しています。2012年7月にはA380が成田線に投入されて、人気が一機に高まったのですがそれもつかの間、翌年2013年の6月にA380は姿を消して、B777に変更になってしまいましたね。

さて、このJFK-MXPの以遠権ルートは、2013年10月に就航しましたが、MXPからさらにドバイまで飛んでいるので、これでJFKとドバイを結ぶルートは全部で1日4往復というすごいことになりました。しかも当初B777で就航したこのルートは、去年の6月からA380が投入されました。エミレーツは今後も同様の以遠権ルート網を拡大しようとしています。が、ニューヨーク・ミラノ路線は既に、アメリカン、ユナイテッド、デルタ、アリタリアなどが就航しており、エミレーツの参入によってこれらの航空会社はシェアを下げて、この路線から撤退せざるを得なくなるということで、米国キャリアは共同で抗議文を出しています。それによると、この路線はすでに飽和状態で需要の伸びはなく、エミレーツは既にドバイ‐JFK便を就航しているので、中東国を通過する旅行客を増やして地域の経済活動を高める効果がないばかりか(つまりこの路線は単純にヨーロッパとアメリカ間の客を狙うだけだと主張)、米国キャリアのシェアを奪うことになる、米国とUAEとのオープンスカイ協定では、このような以遠権のフライトは認められていないと主張しています。2014年には、イタリアの法廷でこの路線は違法だとする判決も一度出されましたが、エミレーツが上告して勝訴におわっています。カタールを含め中東諸国ではエアラインに多額の政府補助金が出ているため、路線網をどんどん広げるとともに、大きな機材をどんどんこういう路線に回すことができるんですね。(その点が大きな批判の的ではありますけど、利用者としては複雑な心境です。)このJFK-ミラノ路線は、航空エコノミストによると、普通の営利企業だったら到底採算が取れないとして見向きもしないといいます。エミレーツはこの路線で唯一ファーストクラスを提供しているということで、客の需要を満たしていると主張しており、戦いは続きそうです。そういう意味では、この便かなりいわくつきのフライトなんですね。

昼前に自宅を出たのが、JFKで搭乗時間を待つ間にすっかり夜も遅くなっていました。普通なら、もうそろそろ寝る支度をしようかという時間なのに、緊張しながら、ザワザワ、ゾロゾロとした列に混じって機内に乗りこみ、狭い通路を止まっては進み、進んでは止まりしながら、やっと後ろの方の自分の席に着きます。ガタガタと荷物を運ぶ人たちや、慌ただしく通路を行き交うCAさんたちの様子など周りをキョロキョロしながら、シートポケットの中身を一つ一つ出して目を通してみたり、右左のアームレストにどんなボタンがあるのか触ってみたり、目の前のシートモニターをいじってみたりして、そわそわとして落ち着かない自分。エミレーツもA380も初めてなので、興奮も収まりません。とりあえず手荷物を前の座席の下に押し込み、シートベルトをカチャッと絞めて、離陸の準備だけはできました。周りにはいつまでも落ち着かない様子の人がいっぱいいます。でもパステル調で優しい感じの色使いのシートが、暖かく居心地よさそうな雰囲気を作っていて、座席に身を沈めるようにして、少しずつ心が落ち着いてきました。ひざ回りや足元のスペースも十分です。飛行機がようやく滑走路の位置に着いて、ゴーっというエンジン音とともに勢いよく走り出すころには、機内の電気も消えて静かな状態になっていました。後に残してきた人たち、向こうで自分を待っている人たちなどのことなどが頭に浮かんできました。

飛行機はどんどんと真っ暗な夜空の中で高度を上げていきます。しばらくの間はチラチラと光る地上の様子が見えていましたが、それもどんどん見えなくなっていきます。普通ならとっくに眠りについている時間なのに、心臓が高鳴って、目をつぶっても眠れません。そのうちに機内の電気がついて、CAさんたちが忙しそうに通路を行ったり来たりし始めました。そして、食事の匂いが漂ってきます。キナイショクか・・・。ミラノに着くまで8時間足らずの間に食事が2度も出るんだっけ。長い旅はまだ始まったばかりなのに、いきなり寝不足だな・・・。まあいいか。どうせ眠れないのだし、大好きな機内食を楽しむとしよう。CAさんがカートを引きながら自分の席の横に来て、「Chicken or fish?」とニコニコしながら聞くので、チキンにしますと答えて、トレーを受け取りました。自分の隣に座っていたイタリア人のカップルは、食事をパスしていました。

注意深く丁寧にビニールを破ってカトラリー類を出し、メインディッシュのフォイルの蓋をはがして下に敷き、トレーの上をきれいにセッティングして、カメラを出してカシャッと写真に収めてから、さあ、いただきまーす。窮屈そうにひじをピタッと体に押し付けた状態で、手首をうまくまげてフォークとナイフを操り、一口口に運びます。なんとなく味気ないような食事も、機内で食べればそれなりにおいしく感じます。カチャカチャとカトラリーの音を立ててゆっくりと食事とワインを味わい、感慨深い思いを胸いっぱいに感じながら、機内の夜は更けていきました。

この便は、少なくとも自分の周りを見回した限り、乗客はほとんどイタリア人のようでしたが、イタリア語のアナウンスもありません。エミレーツがイタリア語のできるCAを配置できないはずはないのに。EU人は英語ができて当然と思われているのでしょうか。自分の隣の人達は、かなり基本的な英会話もままならない様子で、飲み物を頼むのもイタリア語で言っていましたけど。

いくらも眠れないうちに朝になり、機内は薄紫色の明かりがついて、CAさんたちがまた慌ただしく動き始めました。朝食も終えて、もうすぐ到着の準備に入る頃、飛行機は北イタリアのアルプスの上空を通過しているようで、雪をかぶった美しい山々が窓から見えました。もうすぐミラノ到着です。

フライトログ

搭乗の詳細データです。

座席番号
86C
搭乗クラス
エコノミー
区間マイル
3,980
出発予定時刻
22:20
到着予定時刻
11:15
予定飛行時間
7:55

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