各航空会社の労働組合など、航空業界関係者で構成される航空安全推進連絡会議(航空安全会議、JFAS)は、2024年1月2日に羽田空港で発生した航空機事故に関する緊急声明を発表しました。
JFASは、運輸安全委員会による慎重かつ正確な事故調査が実施されるべきとし、憶測を排除した事実認定のみが唯一かつ最優先であることを強調。報道関係者及びSNSで情報を発信する人々に対し、憶測や想像を排除し、正確な情報のみ伝達するよう呼びかけています。
さらに声明では、航空事故捜査についても言及。現状日本国内では、航空機事故が発生した際、警察が捜査を担当し、犯罪捜査として事故原因を特定することが通例で、今回の事故でも同様の方法で捜査が行われています。しかし、国際民間航空条約(ICAO)が求める事故調査は、再発防止のために事故調査するというもの。事実、航空機事故に関することが記されているICAOの第13付属書には、「事故又は重大インシデント調査の唯一の目的は、将来の事故又は重大インシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査活動の目的ではない。」とあります。JFASは、ICAOを批准している日本に対し、条約の遵守およびその真意の理解を求めています。
また、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判証拠に利用されていることについても指摘しています。ICAOでは、調査結果を刑事捜査に用いることを、明確な犯罪の証拠がある場合を除き禁止。これらの規定を逸脱した捜査が行われていることに関し、「容認できるものではない」と非難し、刑事捜査ではなく事故調査を優先するよう強く求めています。
JFASは最後に、航空機事故に対する様々な調査に対して最大限協力することを表明、航空機事故の撲滅に向けた活動を強化していくとしています。
この声明は、羽田空港での接触事故をめぐる一連の報道や、SNS上での情報錯綜のさなかに発表されたもの。今回のような航空機事故に際しては、慎重な情報発信や憶測の排除など、発信者側の意識が問われます。また、正しい事故調査が行われ、これ以上航空事故が発生しないことを願ってやみません。