イギリス、コスフォードで開催されたエアショーに関するレポート

「RAFコスフォード・エアショー 2015」 参加レポート

2015年6月にイギリス・コスフォードで開催された「RAFコスフォード・エアショー 2015」の参加レポートです。
今後のみなさんのエアショー参加などの参考になれば幸いです。 (2015/10/16)

開催概要

サンダーバーズ!!

日時:2015/06/14(日)
場所:コスフォード空軍基地 - イギリス・アービントン
FlyTeamイベント紹介ページ:RAFコスフォード・エアショー 2015
参考URL
「RAFコスフォード・エアショー 2015」公式ページ

RAFコスフォード・エアショー 2015 参加報告

1:アクセスと会場の様子

会場内の様子
会場内の様子

会場のコスフォード空軍基地に最も近い大都市はバーミンガムで、イギリスではロンドンに次ぐ第2の人口を抱える都市です。ホテルなども多く、日本からのアクセスは、ヨーロッパへの直行便で1回乗り換えで到着できます。日本/ヨーロッパ間の直行便では、ロンドンはじめ、パリ、アムステルダム、ミラノ、ローマ、フランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフ、コペンハーゲンに飛び、これらの都市とバーミンガムの往復、オープンジョーなど各地のスポッティングと組み合わせるなど、多くの選択肢があります。

コスフォード基地の管制塔
コスフォード基地の管制塔

今回の宿泊は、ロンドン・ヒースロー空港の周辺のホテルへ泊まり、レンタカーを借り、早朝にコスフォードへ向け出発することにしました。ヒースロー空港を早朝5時に出発しました。エアショー開催日は日曜日のため、大きな混雑もなく、基地の駐車場に入るまではスムーズにアクセスできました。ロンドンからは日本での高速道にあたる「M」を利用し、途中で朝食休憩をはさみ、およそ3時間弱でした。

会場の外に設けられている駐車場
駐車場

駐車場は、基地内の敷地と基地近くの空き地が用意されています。私たちが基地近くに到着した8時ころには、高速道「M」の出口から渋滞が続き、駐車するまでおよそ30分から40分でした。ただし、着実に進むので前の車、案内するスタッフの指示に従い、時間ほどに待った感覚はなく駐車できました。

ちなみに、基地近くに「コスフォード」駅があります。列車でのアクセスも可能ではありますが、基地から見ていた限り本数は少なく、利便性は車に軍配があがるでしょう。万一、列車でのアクセスを検討される場合、時刻表を十分に調べることをオススメします。ただし、駅から近く、時間が合えば渋滞を気にすることなく、便利にアクセス出来るでしょう。

参考:コスフォード・エアショー アクセス案内
http://www.cosfordairshow.co.uk/layout.php

会場にはさまざまなブースが並ぶ
さまざまなブースが並ぶ
フロントラインは早くから展示飛行を待つ人たち
展示飛行を待つ人たち

入場した9時前には滑走路06/24に近いフロントラインは、ほぼ確保されていましたが、2列目なら場所を選べば確保できる余裕がある状況です。是が非にも最前線を確保したい方は、駐車場がオープンする8時にあわせ入場できるよう、早めにアクセスする必要がありそうです。

なお、会場の観覧エリアは芝刈りがなされた滑走路に平行したエリア全体です。お弁当を持ってきてピクニックの雰囲気の家族連れ、日本では考えられないですが火を焚いてバーベキューをする人たちもいるなど、休日を思い思いに過ごす人たちも多くいました。

イギリス名物「フィッシュ・アンド・チップス」は会場内でも堪能できる
フィッシュ・アンド・チップス

会場内での食事は、イギリス名物のフィッシュ・アンド・チップスを販売するショップをはじめ、ホットドッグ、ピザ、ハンバーガーなどが購入できるほか、アルコールを含む飲み物、アイスと、観覧エリアに100メートルから200メートルおきに軒を並べていました。どの場所に陣取っても、メニューを選り好みしなければ、展示飛行を楽しみながら、食事も楽しめます。

お手洗いは、フロントラインの近くに400、500メートルおきの複数個所に仮設トイレが設けられています。駐車場として利用する基地内の芝生エリアにもトイレが設けられ、お昼時やエアショー終了後の集中時間帯以外はすぐに利用できるような状況でした。

なお、入場には、事前にチケット購入が必須です。2015年は、チケットは開催日の数日前には売り切れとなっており、訪れる事を計画する場合には航空券やホテルの予約と同時に予約する事をオススメします。エアショーの入場料は22ポンドで、訪れた時期は1ポンド191円から192円ほどを推移しており、換算すると約4,200円です。イギリスの天候が気まぐれなことを除けば、飛行展示、地上展示と充実した内容から、妥当な金額と言えそうです。

2:ショーの内容

格納庫からバグパイプのスタッフが奏でる音楽でショーがスタート
バグパイプのスタッフ

エアショーは、第2次世界大戦機からユーロファイター・タイフーン、スイス空軍のF/A-18C、ベルギー空軍のF-16AMなどの戦闘機、チヌーク、LYNXなどの各種ヘリコプター、さらにレッドアローズによるアクロバット飛行、そして2015年が最後と言われるバルカンが展示飛行を行いました。

ショーは最新鋭機より、旧機種が中心です。コスフォード基地にはイギリス空軍の博物館があり、そんな場所柄、第2次世界大戦以降に使用された航空機を中心とした展示飛行の機種を見ることができます。ユーロファイター・タイフーンなど、新しい機種の割合は少なめです。博物館で展示されているような機体が目の前を飛ぶため、好奇心旺盛な方にはおすすめでしょう。

Sepecat Jaguar T4
Sepecat Jaguar T4
アヴァロ T21 「G-VROE」 (WD413)
アヴァロ T21 「G-VROE」 (WD413)

開場は8時で、展示飛行は11時からです。展示飛行がはじまると、ほぼ飛び続けている状態という海外で広く見られるエアショーのスタイルです。ただし、イギリスは「1日の中に四季がある」といわれるほど天候が変わりやすく、晴れたと思ったら曇り、そして雨模様、その後は再び晴れるという日もあり、一定した天気を望むことができません。

このため、良い天候の下で撮影したいものの、逆に悪天候だからこそ撮れる作品をねらうと前向きに考えられる方なら、楽しめるかもしれません。日本から気軽にアクセスできませんが、また来ようぐらいの気持ちのゆとりを持つほうが、満喫できそうです。

ホーカー ハリケーン I とP-51D
ホーカー ハリケーン I とP-51D
レッドアローズ
レッドアローズ

また、旧機種が多めのため、当日に展示機のキャンセルや予定していた機体から変更されることもあり、あまりに期待をかけすぎて入れこみ過ぎてもエアショーを楽しめない気がしました。今回はバトル・オブ・ブリテンの特別塗装を施したユーロファイターが展示飛行を予定していましたが、これはキャンセルとなりました。もちろん、これを穴埋めするため、代替機が飛ぶため、プログラムの充実度は変わりません。

2015年のハイライトは、その1つはレッドアローズでしょう。9機編隊のホークが別の会場から飛来し、アクロバットを披露します。レッドアローズの離着陸を見ることができないのは少し物足りないところですが、当日はウェールズのウェルシュプールでも展示飛行を行い、残念ながらコスフォードでの離着陸はありません。ただ、レッドアローズはダブルヘッダーの演技であっても一切の手抜きなく、会場に無線を流しながら観客を沸かせるアクロバット飛行を披露しました。アクロ終了後は、バトル・オブ・メモリアル・フライト(BBMF)と編隊飛行するおまけ付きでした。

レッドアローズとバトル・オブ・メモリアル・フライトが編隊飛行
編隊飛行
「怪鳥」バルカンの飛行も見納め
「怪鳥」バルカンの飛行も見納め

また、この数年、毎年のように引退すると言われてきた「怪鳥」、バルカン2015年は本当に最後になるようです。会場では、整備が難しいことによる最後の展示飛行を行う1年になるとの案内にあわせて、フォークランド紛争での逸話が紹介され、会場の人たちが関心しながら上空を見上げ、その展示飛行を満喫していました。

イギリス空軍のタイフーンが展示飛行を行いました。これは当初、BBMF塗装機が飛行する予定でしたが、これに代わり、第29飛行隊の100周年を記念したタイフーンのみの登場となりました。スピットファイヤーとの新旧の機体が競演する様子は、日本ではなかなか見ることの出来ない海外エアショーの一場面でした。

オイル・スピル・レスポンス
オイル・スピル・レスポンス

また、特筆する点は、オイル・スピル・レスポンス(Oil Spill Response)、T2 Aviation727-2S2F/Adv(RE)が展示飛行しました。元は、フェデックスで運用されていた機体で、T2 Aviationが2014年8月に取得した機体「G-OSRA」で、3発機は最近では珍しい機体になっていますし、この機体そのものは、海上で油流出に対応するため分散剤を噴霧することができるよう改修されている珍しい機体でした。このほか、5月の岩国での航空祭に来日し、日本でもおなじみとなったブライトリング・ウィングウォーカーズが2機で展示飛行しました。

ブライトリング・ウィングウォーカーズ
ブライトリング・ウィングウォーカーズ
スイス空軍F/A-18C
スイス空軍F/A-18C
シーキング、ヘリコプターの展示も充実
シーキング、ヘリコプターの展示も充実

スイス空軍のF/A-18C、ベルギー空軍のF-16AMの参加は、例年のコスフォード・エアショーと比べ充実した内容となったようです。今後も、ウォーバーズを中心としながら展示機は充実をはかるようで、2016年のラインナップも期待できそうです。

3:イギリス空軍博物館

RAFコスフォードには、ロンドンにあるイギリス空軍博物館と同じく、イギリス空軍の主要な航空機を展示する博物館です。ロンドンは第2次世界大戦ごろまで、コスフォードは第2次世界大戦から戦後を含む機体を中心にそれぞれ展示しています。ロンドンのほうが首都にある博物館だけあって整然とし、コスフォードは質実剛健といった感を受けます。

ハリアー T.4N 飛行評価試験機
ハリアー T.4N 飛行評価試験機
トーネードGR.1と奥の格納庫内には多くの機体が展示
トーネードGR.1と奥の格納庫内には多くの機体が展示

ところ狭しと図鑑でみるような試験機が並び、エアショー開始前は本当に混雑しています。年長の方たちは、いろいろと昔話をしながらじっくりと見ている姿があちこちで見受けられ、いっそう混雑がひどくなっている気もします。ただ、それだけ想い入れのある飛行機が揃っている、ということでもあり、見応え十分です。

五式戦闘機
五式戦闘機
百式司令部偵察
百式司令部偵察

日本から訪れる人は、五式戦闘機、キ46百式司令部偵察機「新司偵」を目的に訪れるのもよいかもしれません。現存する唯一の機体で、その状態は非常に良いとされています。このレストアに三菱重工が寄付、協力しているとあっては、せっかく訪れるなら見ておくべき1機でしょう。また、「桜花」もこの博物館に収蔵されており、訪れたら見ておく価値のある機体でしょう。

保存状態は良いとされる百式
保存状態は良いとされる百式
桜花も収蔵
桜花も収蔵

飛行機好きには、エアショーとあわせて訪れると、博物館の所蔵機を見る時間が少ないかもしれません。傑作とされ、試験飛行にこぎ着けたものの政治判断で開発中止となったBACのTSR-2などストーリー性の高い機体が多く、博物館のみを楽しみたいと思う方には、エアショーとは別の機会に訪れても十二分に楽しめる充実した展示機が揃っています。

エアショーにあわせて訪れる場合は、展示飛行のスタート前、展示飛行が終わった後にそれぞれ時間をとって見ると、実際にショーに登場した機体、あるいは飛行した機体の開発に役立てられた機体などを確認でき、展示されている1機1機が活きた航空機として活躍した時代を感じられそうです。

「2015年6月FlyTeamスタッフツアー」 その他レポート一覧

質問受付は、終了しました。

6/13(土)〜6/19(金) Twitterで、ヨーロッパ遠征のエアショー、スポッティングに関する質問にお答えします。

ヨーロッパ遠征のエアショー、スポッティング

いつもFlyTeamをご利用いただきまして、ありがとうございます。

毎年恒例のFlyTeam スタッフのツアーにて、2015/06/13(土)より6/19(金)まで、イギリスで開催されるコスフォードのエアショー、ヒースロー空港でのスポッティング、パリエアショー、スキポール空港でのスポッティングへ参ります。

そこで、みなさんの今後のエアショー参加やスポッティング計画の参考になるように、現地よりみなさんからのご質問にTwitterでお答えします!
あわせて、パリエアショーでは、みなさんからの航空業界に関する質問があれば、それにお答えできるように取材したいと思います。

・ヒースロー空港 スポッティング[イギリス・ロンドン]
・コスフォード・エアショー[イギリス・コスフォード]
・パリ・エアショー[フランス・パリ]
・スキポール空港 スポッティング[オランダ・アムステルダム]

詳しい日時は、以下の通りです。

ヒースロー空港 スポッティング [イギリス・ロンドン]

日時:2015/06/13(土)
場所:イギリス・ロンドン・ヒースロー空港
参考URL
BAA Heathrow: Heathrow Airport

コスフォード・エアショー 参加[イギリス・コスフォード]

パリ・エアショー 参加[フランス・パリ]

日時:2015/06/15(月)午後、16(火)、17(水)、18(木)午前
場所:フランス・パリ ル・ブールジェ空港
FlyTeamイベント紹介ページ:パリ・エアショー 2015
参考URL
Paris Air Show - 15/21 June 2015

スキポール空港 スポッティング[オランダ・アムステルダム]

日時:2015/06/19(金)
場所:オランダ・アムステルダム・スキポール空港
参考URL
Amsterdam Airport Schiphol

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