成田で大韓航空の右主脚損傷は応力腐食割れ、腐食防止剤が塗布されず

成田で大韓航空の右主脚損傷は応力腐食割れ、腐食防止剤が塗布されず

ニュース画像 1枚目:運輸安全委員会 HL7573の報告書資料
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運輸安全委員会 HL7573の報告書資料

運輸安全委員会は2019年9月26日(木)、成田国際空港で発生した大韓航空の右主脚損傷による重大インシデントの報告書を公表しました。これは2018年6月29日(金)、成田空港に着陸した大韓航空の777-300、機体記号(レジ)「HL7573」が地上走行中、右主脚の損傷で誘導路上に停止した事案です。

運輸安全委員会は、この777-300の右主脚タイヤ番号のうち、11番と12番が内側に折損し、その折損部の破面の一部が黒く変色していたことなど、調査開始から1カ月後に航空局(JCAB)安全部へ情報を提供しています。

報告書では、着陸時に右主脚後方の車軸が折損し、誘導路上で停止し、地上走行ができなくなったと判断しています。この車軸折損の要因は、ピボット穴の腐食に起因する急速な亀裂発生と成長による「応力腐食割れ」と推定しています。ピボット穴の腐食は、ブッシングが回転しシーラント切れによる水分浸入、腐食防止剤が塗布されていなかったことが関与したとみています。

ボーイングは2012年12月、主脚オーバーホール時にピボット穴に車軸折損でないものの、割れが発見された2事例があったと運航者に通知しています。この対応として、ピボット部のブッシングを組み付ける際、腐食防止剤を塗布するようコンポーネント・メンテナンス・マニュアル(CMM)を改訂済みでした。

これを受け、大韓航空は、CMM改訂以前にオーバーホールを実施した7機を対象に車軸の損傷が無いか目視点検し、これらの両側主脚後方の車軸、計14本を交換しています。また、グリースアップ作業時の対処要領も更新し、確実な作業が実施される対策が採られました。

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