F-15が目の前で訓練!空自・那覇基地「特別見学」レポート(後編)第2滑走路にも接近

F-15が目の前で訓練!空自・那覇基地「特別見学」レポート(後編)第2滑走路にも接近

ニュース画像 1枚目:F-15
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F-15

2023年6月30日に、航空自衛隊那覇基地で実施した「特別基地見学」にFlyTeam編集部が同行。レポートの前編では、警備犬の訓練とUH-60J救難ヘリコプター、U-125A救難捜索機が所属する那覇救難隊の格納庫を見学し、その様子をお伝えしました。

後編は、防衛最前線の“音速の部隊”、F-15戦闘機の見学からスタートします。

F-15に搭乗、訓練に向かう機体が背後で爆音発進!

救難隊の見学を終えたバスの車内。次の見学先がF-15だと発表されるや、拍手と喜びの声が沸きました。

“白頭鷲の横顔”が部隊マークの第204飛行隊の格納庫に到着すると、そこにはF-15戦闘機910号機「航空機番号:92-8910」の姿が。那覇空港は自衛隊機と民間機で滑走路を共用しているため、旅客機で那覇空港に訪れると、着陸の際に、飛行機の窓からチラリと自衛隊機が見えることがあります。いつもは窓越しに小さく見えるだけの機体……しかもF-15!と、その格納庫に自分が「入っている」というのは、感慨深いものがあります。

見学にあたって、F-15パイロットの山下3佐(TACネーム:ファンタ)と新澤3尉(TACネーム:ロジャー)が機体や装備の説明をしてくれました。
※TAC(タック)ネームはパイロット同士や管制官と無線上で呼び合うニックネーム

まずは、F-15の個人装備について、ヘルメットや耐Gスーツを実際に着用しながらの解説からスタート。ヘルメットは非常に高性能で、バイザー上に表示される位置情報などは、パイロットの頭の動きに追従して表示されるんだそう。

続いて、機体の周りをぐるりと回りながら兵装や部品などについて説明し、参加者の質問にも答えてくれました。さらに、希望者全員が特別にF-15のコックピットに座らせてもらえました。航空祭などではコックピットを見るだけでも毎回長蛇の列なので、こうしてゆっくり座って質問もできるのはうれしい限りです。

ニュース画像 1枚目:F-15戦闘機の装備品の説明をしてくれたパイロットのファンタさんとロジャーさん
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F-15戦闘機の装備品の説明をしてくれたパイロットのファンタさんとロジャーさん
ニュース画像 2枚目:ヘルメットに搭載するHMD(ヘルメットマウンテッドディスプレイ)などの説明も
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ヘルメットに搭載するHMD(ヘルメットマウンテッドディスプレイ)などの説明も
ニュース画像 3枚目:910号機の尾翼には204飛行隊の“白頭鷲”部隊マーク
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910号機の尾翼には204飛行隊の“白頭鷲”部隊マーク
ニュース画像 4枚目:20mm機関砲。「1秒で100発撃てます」とのこと。
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20mm機関砲。「1秒で100発撃てます」とのこと。
ニュース画像 6枚目:F-15の離陸速度は離陸時の重量にもよるが、時速約230〜270kmぐらいだとか
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F-15の離陸速度は離陸時の重量にもよるが、時速約230〜270kmぐらいだとか
ニュース画像 7枚目:F-15に搭載する2基のF100ターボファンエンジン
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F-15に搭載する2基のF100ターボファンエンジン
ニュース画像 8枚目:希望者はF-15のコックピットに座ることができました
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希望者はF-15のコックピットに座ることができました
ニュース画像 9枚目:機体の説明をしてくれたF-15のパイロット山下3佐。タックネームは「ファンタ」
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機体の説明をしてくれたF-15のパイロット山下3佐。タックネームは「ファンタ」

格納庫で見学をしているちょうどその時、背後では今まさに、訓練に向かうF-15が飛行前のチェックを行っていました。しばらくすると、訓練に向かうパイロット数名が登場。私たちに手を振りながら機体に搭乗します。そして、爆音を響かせながら飛び去っていきました。こんなに目の前で、訓練に向かう姿を見学できるとは思ってもいませんでした。

ニュース画像 10枚目:訓練に向かうF-15戦闘機
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訓練に向かうF-15戦闘機

第2滑走路にバスで接近!すごい位置から離着陸を見学

お昼ご飯を挟み、午後の部は南西航空音楽隊の生演奏からスタートです。南西航空音楽隊は、沖縄本島をはじめ、奄美大島から日本最西端の与那国島まで約1000kmの範囲で活動しているとのこと。陸海空自衛隊で唯一「ビックバンド」編成をとった音楽隊だそう。

この日、見学者20名のためだけに「Sing Sing Sing」などビックバンドの名曲を演奏してくれました。さらに質問コーナーでは、「自衛隊で音楽隊に入るには?」「音楽隊は普段何をしているの?」などの質問に回答。普段の業務は「事務作業」が多いという意外な答えでした。

ニュース画像 11枚目:南西航空音楽隊の生演奏を聴きに
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南西航空音楽隊の生演奏を聴きに
ニュース画像 12枚目:南西航空音楽隊の生演奏。ビックバンド編成でノリノリの楽曲でした
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南西航空音楽隊の生演奏。ビックバンド編成でノリノリの楽曲でした

続いて、この日もうひとつのメインイベントです。実は、朝からバスの車内では「午後は普通の基地見学では絶対に行けないところに行けるかも」というアナウンスがあり、参加者の期待が高まっていました。私たちが向かった先は、那覇空港の「第2滑走路」だったのでした。

2020年3月に供用開始した第2滑走路は、全長2700m。既存の滑走路から1310m離れた沖合に平行して展開しています。前述のとおり、那覇空港では、民間機と自衛隊機で滑走路を併用していますが、以前は空自戦闘機などのスクランブル発進(対領空侵犯措置)の際に、民間機と滑走路の使用がバッティングしてしまうケースがあったとのこと。第2滑走路の共用を開始してからは、そういったケースが減少したそうです。

そんな第2滑走路には、「ラストチャンス」と呼ばれる航空自衛隊が管理するエリアや消防設備があり、その見学に向かいます。「ラストチャンス」とは、F-15戦闘機などがミサイルなどの安全ピンを離陸する際にはずし、着陸した際には装着する場所のことで、安全を確保するためのスペースが設けられています。また、第2滑走路では、戦闘機のタッチ&ゴー(連続離着陸)訓練などがよく行われているそうで、運が良ければ自衛隊機の離着陸がすごい位置から見学できるかもしれない“チャンス”です。

滑走路に並行する管理用の車道を走ると、車窓からさっそく、海上自衛隊のP-3C哨戒機が着陸する様子が見えました。

P-3Cの後は、JALやANAなどの旅客機が頭上をかすめるように離着陸していきます。バスのすぐ脇はもう海です。なんとも優雅な、特等席からの離着陸見学でした。

ニュース画像 13枚目:沖合ギリギリの車道の車窓から
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沖合ギリギリの車道の車窓から
ニュース画像 14枚目:海上自衛隊のP-3C哨戒機が着陸してきました
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海上自衛隊のP-3C哨戒機が着陸してきました
ニュース画像 16枚目:第2滑走路を走行するANAの旅客機、こちらもバスの車窓から
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第2滑走路を走行するANAの旅客機、こちらもバスの車窓から
ニュース画像 19枚目:第2滑走路をバスの車窓から見学
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第2滑走路をバスの車窓から見学

お土産タイムで基地グッズをゲット!最後は展示機と「ゆいレール」のコラボも

丸1日楽しんだ特別基地見学もいよいよ終盤です。航空自衛隊好きの参加者の意向を汲み、基地内の厚生センターでお土産を買う時間を設けてくれました。基地ゆかりのグッズなどを思い思いに購入し、最後は、那覇基地正門近くの展示機の近くへ。

ニュース画像 20枚目:思わず買ってしまった「航空自衛隊那覇基地カレー」
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思わず買ってしまった「航空自衛隊那覇基地カレー」

那覇基地の展示機は、沖縄都市モノレール「ゆいレール」に乗ると、赤嶺駅あたりを通過する際に車窓から見ることができますが、基地の中でゆっくり見学するのは初めてでした。たまたま通り過ぎた「ゆいレール」とのコラボ写真も撮れました。

ニュース画像 21枚目:第302飛行隊のF-4EJ改戦闘機「航空機番号:37-8321」
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第302飛行隊のF-4EJ改戦闘機「航空機番号:37-8321」
ニュース画像 22枚目:F-104J戦闘機「航空機番号:76-8688」 ゆいレールとのコラボ写真が撮れました
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F-104J戦闘機「航空機番号:76-8688」 ゆいレールとのコラボ写真が撮れました
ニュース画像 23枚目:T-33練習機「航空機番号:81-5327」
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T-33練習機「航空機番号:81-5327」

朝の10時に集合し、解散したのは16時過ぎ。警備犬、救難隊、音楽隊の演奏、お昼ご飯、F-15の格納庫、第2滑走路、展示機と、見どころ満載の特別基地見学でした。機体や基地のマニアックな場所を見学できたことも良かったですが、見学場所各地で担当する自衛官と直接フランクにお話できたことも、またとない機会でした。

航空機が好きな人はもちろん、自衛隊の仕事に興味がある人や、基地の内部を見てみたい!というような人も、参加してみたらきっとたくさんの発見があるのではないでしょうか。次回の開催は未定ですが、引き続き那覇基地のTwitterなどSNSをチェックしていたら、開催の情報をキャッチできるかもしれません。

また、今回は特別基地見学でしたが、那覇基地のホームぺージでは、2023年9月以降分「一般基地見学」の予約受け付けを開始しているとのことです(2週間前が締め切りです)。

さらに、2023年8月25日(金)には、音楽隊の演奏や、エイサー演舞などが行われる「サマーフェスタ2023」が7年ぶりに開催されます(17時から21時まで)。入場無料なので、夏の思い出作りに那覇基地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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