航空自衛隊那覇基地は、抽選で当選した20名を対象にした「特別基地見学」を、2023年6月30日に実施しました。FlyTeam編集部は、丸1日かけてたっぷり行われた「特別基地見学」に同行。通常の基地見学では見ることのできない”激レア”スポットなどの様子を、2回にわけてレポートします。
特別基地見学は、同基地のTwitterフォロワー数70,000人突破を記念した特別な企画です。ツアー内容は、「救難機の見学」「音楽隊の演奏」「お昼は基地で」というキーワードのみが事前に知らされ、多くは当日のお楽しみでした。
航空自衛隊那覇基地とは?
那覇基地は、沖縄県那覇市の中心約5kmに位置しています。沖縄都市モノレール「ゆいレール」で那覇空港駅のお隣り、赤嶺駅から徒歩5分ほどで基地の正門に着くため、全国的にもかなりアクセスの良い基地と言えるでしょう。
那覇基地には、F-15戦闘機による防空任務を行う第9航空団、UH-60J救難ヘリコプター、U-125A救難捜索機が所属する那覇救難隊、「空飛ぶレーダーサイト」こと、E-2C早期警戒機が活動する第603飛行隊、南西航空音楽隊などの部隊が日々、任務や訓練、基地業務などを行なっているそうです。
“基地のアイドル”警備犬、訓練の様子に萌え
当選した幸運な20名は、朝10時に那覇基地の正門に集合。約209万平方メートルの広さを誇る那覇基地を移動するため、大型バスが用意されていました。当日は快晴を通り越して真夏の猛暑に近い気温だったため、バスでの移動はありがたく、快適でした。
最初に向かったのは、那覇基地の警備犬舎です。ここでは警備犬とハンドラー(取扱者)による訓練展示を見学しました。披露されたのは、爆発物探知訓練や襲撃訓練、人員捜索訓練などです。災害時のほか、例えば、基地内に不審物が置かれている場合などの対処に、警備犬が活躍するとのこと。爆発物探知訓練では、爆発物の臭いがする袋をドアを閉めた自動車の中に隠しましたが、ほんの数秒で見つけ出していました。
救難隊のUH-60J、U-125Aの格納庫へ!最強メディックも登場
続いてやってきたのは、UH-60J救難ヘリコプター、U-125A救難捜索機が格納されている那覇救難隊のハンガーです。UH-60J 609号機「航空機番号:98-4609」とU-125A 017号機「航空機番号:12-3017」の機体と救難パイロットが待っていました。ここでは、機体を間近で見学できるだけでなく、機内に入ってコックピットに座ったり、パイロットによる機体解説を聞いたりすることができました。
UH-60Jは“ロクマル”の愛称で親しまれている航空自衛隊の救難ヘリコプターです。609号機は、航空自衛隊内では通称UH-60JⅡと呼ばれる能力向上型(近代化)だそう。説明をしてくれたのはパイロットの簑原2尉です。「空中給油って難しいですか?」「(操縦は)パイロット2名でどう分担しているんですか?」などの参加者の質問に丁寧に答えていました。
となりに並ぶU-125A 017号機は救難捜索機。「この機体、もともとはビジネスジェットなんですよ」とパイロットの田中1尉が教えてくれます。「どこが違うんですか?」という参加者の質問に対し、機体に赤外線カメラを内蔵していることや、捜索レーダーを装備することなどを、身体を張って解説してくれました。
そして、救難隊といえば、人命救助のエキスパートである救難員、通称「メディック」を一番に思い浮かべる人も多いかもしれません。
事故や災害発生時、通常は警察や消防、海上保安庁のヘリコプターなどが出動して救助活動を行いますが、警察などの組織でも対処できないほどの悪天候や深刻な状況が発生した場合に、航空自衛隊の「救難隊」が出動します。彼らが「人命救助の最後の砦」と言われているのはそれゆえですね。
そんな、UH-60JやU-125Aに搭乗して人命捜索や救助を行う人命救助のプロ中のプロが、実際の装備などを展示して説明してくれました。胸のバッジ…空挺き章、レンジャーき章、航空士き章が眩しいかぎりです。
空自といえば「空上げ(からあげ)」、ちょっぴりご紹介
救難隊の後は、参加者全員お待ちかねの、あの部隊へ……。防衛最前線の“音速の部隊”を見学。その様子は、後編記事でお伝えします。そこにはなんと、那覇基地司令、鈴木繁直空将補がサプライズで登場しました。
通常の基地見学は2時間程度で終了ですが、今回の特別基地見学は丸1日かけて行われます。救難隊の次は、F-15戦闘機の第204飛行隊、そして食事へと続きます。前編では、お昼ご飯を先にご紹介。隊員食堂で「那覇基地タコ空上」(タコス風のから揚げ)をいただきました。
後編は、通常は絶対に入れない場所が登場するかも……?