「サンフランシスコ線 vs コナ線」 羽田枠の結論は12月16日

「サンフランシスコ線 vs コナ線」 羽田枠の結論は12月16日

アメリカン航空は2013年12月1日、羽田/ニューヨーク・JFK線を運休しました。これを受け、この発着枠を獲得するバトルに近く決着がつきます。

運休を受けて、空いた羽田発着枠を活用するとアメリカ運輸省(DOT)へ申請したのは、ユナイテッド航空とハワイアン航空。結論が出るまで、デルタ航空を加えた各社のアピールはある意味、互いの弱点のつぶし合いの様相を呈しています。

ハワイアン航空が羽田枠を最も有効活用している!

アメリカ運輸省 決断は12月16日ハワイアン航空は、これまで与えられた発着枠を継続して運用していると強調。デルタ航空はデトロイト線を運休し、結果的にシアトル線に振替え。また、今回のアメリカン航空のニューヨーク線の運休で、アメリカ東海岸路線は失敗としています。また、羽田路線はアメリカ西海岸路線も含め、搭乗率が低いと指摘しています。

市場規模はコナの29倍!

ユナイテッド航空はこれに対し、サンフランシスコはコナを出発する羽田、成田行き旅客が4倍から最大で29倍の違いがあり、サンフランシスコ空港のネットワークの豊富さ、特にパームスプリングス、ボイシ、リノといった西海岸エリアのネットワークの豊富さを強調しています。潜在需要としてもサンフランシスコとコナのアジア系人口が25倍、ハワイ州とカリフォルニア州でも9倍超の違いという市場規模を指摘。さらにユナイテッドのみアメリカの航空会社として羽田に未就航であると強調しています。

羽田は使いにくい!

デルタ航空は今回は発着枠を申請していませんが、アメリカが持つ発着枠ということで意見を寄せています。ユナイテッド航空、ハワイアン航空のいずれにも味方はしない立場を表明していますが、デルタだけでなく他のアメリカ系航空会社も含め、羽田発着枠を自由に利用できる様にしてほしいと要望。日本とのオープンスカイ協定​​に基づき、羽田とアメリカの任意の地点を運航することで、羽田発着枠の有効活用を提案しています。これはデルタが羽田/デトロイト線を運休し、シアトル線に振り替えた際にも同じ考え方を示していました。つまり、羽田発着枠に少し自由度が欲しいというアピールですが、逆に言えば羽田深夜枠は使いにくいということでしょう。

羽田空港の深夜早朝枠の使いにくさは、エア・カナダが就航せずに中止したことにも象徴されています。当初、羽田/バンクーバー線の就航を延期しましたが、集客が悪く就航そのものを2011年3月に中止したことはあまりに有名。エア・カナダは深夜早朝枠ではなく、2014年夏スケジュールで昼間時間帯を使い、羽田/トロント線の就航にこぎ着けました。

このことは、全日空(ANA)やエア・カナダが発表した羽田昼間時間帯のカナダ路線のスケジュールと、アメリカ系航空会社が運休した路線のスケジュールを見比べると一目瞭然。往路、復路ともに羽田で遅くとも19時ごろの時間帯に離発着することができず、羽田から他都市への乗継ぎは難しいスケジュール。このためハワイアン航空が指摘するまでもなく、2都市間のみの旅客需要でまかなうことが出来なければ、厳しい搭乗率が続くことが想像されます。

いったい、どのくらいの搭乗率なのでしょう。アメリカン航空のニューヨーク線搭乗率は40%台、80%台を乱高下していたよう。デルタ航空も羽田線で就航時の747-400や777-200ER、777-200LRからA330-200、現在は767-300ERとダウングレードし、供給座席数を減らしていることから、安定した需要があるとは言えないでしょう。赤字垂れ流しでは羽田発着とは言え、就航を止めることになることが推察されます。

市場性はユナイテッド、将来性はハワイアン

自然に考えるとユナイテッド航空が優位。市場規模ではサンフランシスコの大きさ、サンフランシスコのハブ機能が「使えれば」、サンフランシスコ以遠の需要も期待できます。ただ、就航しても羽田空港の国内線、東京都内へのアクセス改善に大きな期待はできず、搭乗率が伸び悩むことが容易に想像できます。デルタ航空のロサンゼルス線のスケジュールが参考になりそうですが、羽田着はパートナーの全日空(ANA)の国内線に接続ができません。

そこにいくと、2010年に日本航空(JAL)がコナ線を運休するまで訪問者数も一定程度あり、現在は日本/ハワイ間の供給座席数も順調に増加し、ハワイ人気も徐々に戻り、訪問者数が伸びている状況の発着枠を最大限に活用するには、ハワイアンへの配分されると運休の心配は減らせそうな気配。ただし、ハワイアン航空はデルタ航空が羽田/アトランタ線を運休し、羽田/シアトル線の就航を申請した際にも羽田/コナ線を申請しましたが、コナの市場性から認められず、今回はどのような判断がされるか注目です。

いずれにしろ、ユナイテッドのサンフランシスコ線、ハワイアンのコナ線とも一長一短。今回はハワイアンに発着枠を提供、ユナイテッドは昼間発着枠というのも一案ですが、日米航空交渉が行われる見通しも無ければこうした取引には至らないでしょう。アメリカ側で決める発着枠ですが、利用者からすると羽田枠を通年で有効に活用してもらいたいところです。

アメリカ運輸省(DOT)の結論は2013年12月16日にも出る予定です。

<div style="border-style: solid ; border-width: 1px; padding: 10px 5px 10px 20px;">
<参考1>羽田昼間時間帯に運航する北米行き太平洋路線:ANAとエア・カナダの羽田発着スケジュール
■羽田/バンクーバー線
NH116 羽田 21:55 / バンクーバー 14:55
NH115 バンクーバー 16:55 / 羽田 19:05(+1)

■羽田/トロント線 スケジュール
AC006 羽田 17:40 / トロント 16:40
AC005 トロント 13:00 / 羽田 14:55 (+1) </div>

<div style="border-style: solid ; border-width: 1px; padding: 10px 5px 10px 20px;">
<参考2>羽田深夜早朝枠利用のアメリカ系航空会社の運休スケジュール:アメリカン航空とデルタ航空
■運休したアメリカン航空 羽田/ニューヨーク線
AA134 羽田 06:50 / ニューヨーク・JFK 05:25
AA135 ニューヨーク・JFK 18:00 / 羽田 22:15 (+1)

■運休したデルタ航空 羽田/デトロイト線 (2012/4/28以降)
DL628 羽田 06:55 / デトロイト 06:45
DL627 デトロイト 19:30 / 羽田 22:30 (月、水、土は30分遅発、遅着)</div>

<div style="border-style: solid ; border-width: 1px; padding: 10px 5px 10px 20px;">
<参考3>羽田深夜早朝枠利用のアメリカ系航空会社の現在のスケジュール:デルタ航空とハワイアン航空
■デルタ航空 羽田/ロサンゼルス線
DL636 羽田 01:00 / ロサンゼルス 18:25 (-1)
DL637 ロサンゼルス 16:40 / 羽田 22:30 (+1) ※曜日により運航時間に違いあり

■デルタ航空 羽田/シアトル線
DL580 羽田 00:30 / シアトル 16:30 (-1)
DL581 シアトル 18:32 / 羽田 22:45 (+1)

■ハワイアン航空 羽田/ホノルル線
HA458 羽田 23:55 / ホノルル 12:00
HA457 ホノルル 17:40 / 羽田 22:05 (+1)</div>

この記事に関連するニュース
メニューを開く