アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)は2025年6月18日、ボーイング737MAXシリーズやエアバスA320neoで使用されているCFMインターナショナル社製LEAPエンジンに関して、緊急安全勧告および追加勧告を発しました。
緊急安全勧告の対象となったのは、737MAXシリーズに搭載されているLEAP-1Bエンジン。勧告は、同エンジンを搭載した機体のコックピットまたは客室に煙が入り込む可能性に対処するためのものです。アメリカ連邦航空局(FAA)に対し、乗務員へのトラブルに関する周知徹底やマニュアルの改訂を要請。FAAと欧州連合航空安全機関(EASA)に対し、エンジンのソフトウェアについても修正を求めています。
また、A320neoに搭載されているLEAP-1AおよびCOMACのC919に搭載されている-1Cエンジンでも追加勧告を発行。FAA・EASA・中国民用航空局に対し、同じ問題が発生する可能性を評価するよう求めました。
今回の事故調査は、2023年にサウスウェスト航空機で発生した2件の事故を受け実施されたもので、いずれもバードストライク後に煙が機内に流入したという内容のトラブルが発生。調査の結果、損傷したエンジンから機体に伝わる振動を軽減するエンジン負荷軽減装置(LRD)がエンジンオイルシステムに損傷を与え、煙が換気システムを通じてコックピットや客室に侵入する可能性があると結論づけ、今回の勧告が行われました。
LEAP-1Bは、737MAX向けにCFMインターナショナルが開発したエンジン。現在日系航空会社で同エンジンを搭載する機材はありませんが、ANAやJAL、スカイマークが発注した737MAXにはLEAP-1Bが選定されています。またA320neo向けのLEAP-1Aエンジンは、ピーチ・アビエーションやスターフライヤーのA320neo、ジェットスター・ジャパンのA321LRなどに搭載。今後、今回の勧告の影響を受ける可能性もあり、動向が注目されます。