ポーラーエアカーゴの重大インシデント、再発防止で空港情報を改定

ポーラーエアカーゴの重大インシデント、再発防止で空港情報を改定

ニュース画像 1枚目:重大インシデント発生時のタキシング
© 運輸安全委員会
重大インシデント発生時のタキシング

運輸安全委員会は2019年3月28日(木)、2017年に成田国際空港の滑走路16Lで発生したオーバーランの事故報告書を公表しました。これはポーラーエアカーゴの747-8F、機体記号(レジ)「N852GT」が2017年7月15日(土)22時41分、PO213便として滑走路16Lから離陸する際に末端近くまで滑走した後に浮揚、オーバーランに準ずる事態となった事案です。

事案発生時の気象状況との関連はないとみられています。機長の経験上、滑走路16Rからの離陸が多く、駐機場の207番から近い16Rの離陸を想定していたことがこの事案の遠因にある模様です。ただし、重大インシデント発生当日、管制官から16Lを指定され、機長は16Rの離陸要求は行わず、管制承認に従っています。これは指定された滑走路を使用する運用方式を認識し、16Lの離陸でも可能と認識していたと推定しています。

この状況下で、「N852GT」は必要な離陸推力より低い離陸推力を使用し、離陸滑走を開始したため、浮揚までの滑走距離が長くなり、滑走路末端近くで浮揚し、オーバーランに準ずる事態になったものとみています。

必要な離陸推力よりも低い離陸推力で離陸滑走を開始したことは、機長や副操縦士の想定と異なる滑走路からの離陸に際し、機長がフライト・マネジメント・コンピューター(FMC)の離陸推力の設定を正しく変更せず、機長や副操縦士による離陸推力の確認が離陸開始時までに確実に行われなかったとしています。

再発防止策として、ポーラーエアカーゴは機長や副操縦士にFMCへの性能データ入力と確認、滑走路変更時の手順について再訓練を実施したほか、2017年12月に全運航乗務員に安全ブリーフィングを実施し、この重大インシデントをレビューしています。また、滑走路変更チェックリストを設定し、変更時の対応を強化しています。

また、空港情報も2018年2月に改定され、成田空港の出発時の注意事項に日本時間の21時から23時は管制機関が出発機に対して16L/34Rを指定することがあること、性能上の理由から16R/34Lの離陸を要求できることなどが記載されました。

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