2019年7月のアシアナ滑走路誤進入、コクピット内で確認不足

2019年7月のアシアナ滑走路誤進入、コクピット内で確認不足

ニュース画像 1枚目:アシアナ航空 A321滑走路誤進入時の関係図
© 運輸安全委員会
アシアナ航空 A321滑走路誤進入時の関係図

運輸安全委員会は2021年1月21日(木)、那覇空港で2019年7月に発生した滑走路誤進入の重大インシデントについて報告書を公表しました。アシアナ航空のエアバスA321-231型機、機体記号(レジ)「HL8256」が滑走路18に管制許可を得ないまま進入した事案です。報告書は、機長の思い違いとコクピット内での確認不足を指摘しており、アシアナ航空では再発防止策が実施されています。

事案発生時の滑走路18は、日本トランスオーシャン航空(JTA)のボーイング737-800型機、レジ「JA01RK」が着陸許可を受けて最終進入中でした。JA01RKは、滑走路18のおよそ3.3キロメートル(1.8ノーティカルマイル)地点で、HL8256の滑走路進入を目視、復行の心づもりをし、管制(タワー)との交信を経て着陸を中止しました。

滑走路18にHL8256が進入する前、タワーは「HOLD SHORT OF RUNWAY(滑走路手前で待機せよ)」と指示。HL8256の副操縦士から「CONFIRM E1 THEN HOLDING POINT RWY 18」と応答。タワーは「AFFIRM E1 HOLD SHORT OF RWY 18」と返信し、副操縦士は「E1 HOLDING SHORT OF RWY 18, MAINTAIN FLIGHT LEVEL 250 ALL ALTITUDE RESTRICTION CANCELLED」と復唱しました。

このとき、機長は「LINE UP AND WAIT(滑走路に入って待機せよ)」と思い違いをしていました。副操縦士はタワーとの交信前に実施していた離陸に向けた手順を再開し、管制から指示された高度制限解除の設定変更を進めていました。機長はこの様子を見て、地上走行を継続しました。この際、アシアナ航空に規定されていた運航乗務員による管制指示の確認手順が行われませんでした。

この機長の思い違いが誤進入を招いた直接の要因です。また、思い違いが修正されなかった理由は、アシアナ航空の規定に定められたコクピット内での相互確認が実施されなかったことが大きな要因と結論づけられています。

アシアナ航空は再発防止策として、まず那覇空港の空港情報を更新し、運航乗務員に注意喚起しました。このほか、コクピット内で操作の指示や実行を声に出して確認するスタンダードコールアウトのうち特に地上走行中の内容を変更、滑走路・誘導路誤進入の社内防止キャンペーン、運航乗務員の評価基準と路線審査手順の強化などを実施しました。重大インシデントの当該乗務員は再教育・再訓練が実施されています。

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