デルタ航空は2023年5月1日、アメリカ運輸省(DOT)へ羽田発着枠の柔軟運用に関する要望書を提出しました。これは、現在アメリカの航空4社(デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、ハワイアン航空)へ割り当てられている羽田発着枠について、日本側は自由にアメリカの就航地を決定できるのに対し、米4社は路線を限定されていることに対する改善要望。2019年の追加配分前にも、路線を限定しない形での配分を求めた要望を行なっており、真のオープンスカイ(自由協定)に向けた一歩を踏み出したい意向です。
同社では、2019年時点で割り当てられた路線について、コロナ禍の当時の需要予測と現在の需要が大幅にかい離していることから、これを正したい考えです。3年程度の期間限定で、各社2枠を上限に申請以外の任意の路線を開設できるようにすることを求めています。
要望書のなかで、東京/アメリカ間の旅客数はこの1年間で約1,000万人を超え回復基調にあるものの、今後の需要は不安定な状態が続くと予測。日本路線以外の長距離路線の平均回復率は72%であるのに対し、東京路線は2019年の半分以下であるわずか49%(2023年3月までの12ヶ月間)であったとしています。
同社はアメリカ7都市(アトランタ・デトロイト・ミネアポリス・ロサンゼルス・シアトル・ポートランド・ホノルル)から、それぞれ1便を運航できる許可を得ています。長い運休期間を経て、2023夏ダイヤからミネアポリス線を再開しましたが、ポートランドとホノルル線については現時点でも運航ができていません。2022冬ダイヤ時点で運航を再開済みの4路線(アトランタ・デトロイト・ロサンゼルス・シアトル)についても、旅客需要がコロナ禍前の2019年比で65%を下回っているとしています。そのため、アフターコロナの新たな需要と供給のバランスを取る必要があり、発着枠と就航路線の制限はまるで航空会社へ手錠をかけるような二重の制約だと、改善を求めています。
同社では、この要望が認められることにより、パンデミックに起因する旅客需要の変化に対応しながら、重要な公共の利益を達成できるとしています。2004年にアメリカ/ブラジル線でも同様の結果が認められたとし、日本にパートナーがいないために共同事業(JV)を実施できないデルタ航空とハワイアン航空へも、寄り添った対応を求めています。
2019年のDOTへの申請時、アメリカン航空ではラスベガス線、ユナイテッド航空はグアム線など、各社割り当て想定よりも多くの路線を申請し、優先順位をつけていました。もしこの要望が認められた場合、新たな就航都市の検討など各社がどのような動きを見せるか注目されます。
■ アメリカ航空会社の羽田発着枠取得路線
デルタ航空・・・アトランタ/デトロイト/ミネアポリス/ロサンゼルス/シアトル/ポートランド(運休中)/ホノルル(運休中)
ユナイテッド航空・・・サンフランシスコ/シカゴ/ロサンゼルス/ニューアーク/ワシントンDC
アメリカン航空・・・ダラス/ロサンゼルス2便
ハワイアン航空・・・ホノルル2便(一部運休中)/コナ(運休中)