厚木基地騒音訴訟、2審判決も住民側勝訴

厚木基地騒音訴訟、2審判決も住民側勝訴

2015年7月30日、東京高等裁判所は、厚木基地周辺住民が国を相手に騒音被害について訴えた控訴審の判決を言い渡し、2016年末までの間の22時から6時までの自衛隊機の飛行差し止めと、94億円の賠償金支払いを命じました。

この裁判は厚木基地周辺の住民6,900人余りが起こしたもので、横浜地方裁判所での1審判決も自衛隊機の22時から6時までの飛行差し止めと、約70億円の賠償を支払うことを国に命じていました。1審に続き、2審も住民勝訴の判決となり、高等裁判所が自衛隊機の飛行差し止めを命じるのは初めてのことです。

判決では、アメリカ海軍第5空母航空団(CVW-5)の機体が山口県の岩国基地へ移動するまで騒音が続くとして、2016年末までと期限を区切って自衛隊機の飛行を差し止めました。しかし、アメリカ軍機の飛行については「国に権限がない」ため差し止めは認められず、自衛隊機に関しても「やむを得ない場合を除く」という但し書きが付きます。

賠償金については2016年末までの将来の分を含んで算出され、1審判決より20億円以上多い金額の支払いが命じられました。裁判以降の将来の分までの賠償が命じられたのも初めてのことです。

菅官房長官は関係省庁と調整して今後の対応を決めるとしています。

厚木基地は太平洋戦争中に日本海軍が建設した基地で、戦後はアメリカ軍が接収、1971年からは海上自衛隊も使用するようになりました。1973年からCVW-5の基地となり艦載ジェット機離着陸が増え、近隣の急速な宅地化と合わせて騒音問題が深刻化し、何度か訴訟が起こされ賠償金の支払いや住宅の防音工事が実施されています。

自衛隊基地や米軍基地などへの騒音訴訟は、小松基地、横田基地、嘉手納基地、普天間基地、岩国基地などでも争われており、国の安全保障と住民の安寧な生活のどこで折り合いをつけるのか難しい判断が迫られます。

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