MRJ初飛行、「大成功」

MRJ初飛行、「大成功」

ニュース画像 1枚目:MRJ、JA21MJの初飛行を終え、手を振って機外に出てくる安村機長(中央)と戸田副機長(左)
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MRJ、JA21MJの初飛行を終え、手を振って機外に出てくる安村機長(中央)と戸田副機長(左)

三菱航空機は2015年11月11日(水)、同社が開発を手がけているMRJ90、機体記号(レジ)「JA21MJ」の初飛行を成功裡に終えました。県営名古屋空港を9時35分に離陸、11時2分に着陸、1時間27分の初飛行は太平洋上の遠州灘、防衛省の空域で実施されました。初飛行の最高高度1万5000フィート、4572メートル、時速150ノット、280キロでした。試験は脚を下げ位置固定、フラップ、スラストリバーサーは固定と「ほぼ」計画通りに実施されました。三菱航空機の森本浩通社長はこの初飛行を「大成功」と表しました。

機長は、航空自衛隊のテストパイロットなどを務め、現在はチーフテストパイロットの安村佳之(やすむら・よしゆき)氏、副操縦士は海上自衛隊のパイロットを経て現在はテストパイロットの戸田和男(とだ・かずお)氏が務めました。

安村機長は、初飛行について「離陸速度に達したらふわっと浮き上がり、安定して上昇し、まさにシミュレータのとおり全く違和感が無かった」と国産機としてYS-11以来50年ぶりの開発となるMRJの初めての離陸を表現しました。

試験飛行を行なう空域では着陸シミュレーションなど計画されている訓練を実施し、「ほぼ計画通り」(岸副社長)でした。ただし、当初の計画では離陸が9時30分、着陸11時20分としていましたが、それより少し速い到着となり、この時間の点だけが「ほぼ」と表現する内容になったものです。

機体の性能については、初飛行は想定通りの結果を収め、時間が短くなった理由は予定通りの試験を順調にこなし、燃料の余裕あれば追加の試験項目もあったものの、安村機長は「ねばればできたが、それよりも帰った方がいいと判断した」と、一部の項目を飛ばした説明を明らかにしました。

この初飛行には、三菱重工の社有機、航空自衛隊岐阜基地のT-4がチェースプレーンとして随伴し、戸田副機長は「離陸から着陸まで、エンジンへの信頼性が高く、安心していた。さらにチェイスプレーンが挙動を確認しており、初飛行には安心感があった」とも話しました。

この初飛行では離陸直後から空域へ向かう際、着陸時など、手を離してもまっすぐ、安定しており、操縦者の意図にあわせ、空域でコントローラビリティのチェック時にやや大きめの動作を入力した際にも、レスポンスよく動くことから安村機長は、「機体の高いポテンシャルを表している」と言い、F-1、T-2、T-2 CCV、XT-4、F-15、XF-2、MU-300、A320など33機種を経てきたなかでもトップクラスの安定性と太鼓判を押しました。

着陸時は、風は弱いながらも縦、横にゆれながらアプローチとなりましたが、機体自らが修正するなど操縦性も良いこともこうした太鼓判の一因になっているようです。さらに、厳しい試験項目が続けられるものの、「素晴らしい機体に仕上がる」とも期待感を示しています。

安村機長は、初飛行で印象に残る風景をあげてほしいと記者に問われ、積もる試験項目があり、「外は見れていない」としつつ、試験空域を南向きに飛行している際、「左に美しい富士山が見え、ふと我にかえり感動」したと紹介したほか、「着陸時に、ふるさとに帰る感じで素晴らしい着陸をお見せしたいと思った」とも述べました。

ちなみに、着陸後にタキシングし、スポットに到着後、およそ15分にわたりエンジンの停止まで時間があり、その間に安村機長はグランドスタッフとのコミュニケーションで、地上の様子でどのように機外に出たら良いか尋ねたそう。そうすると、グランドスタッフの返答は「手を振るようにとアドバイス、を受けた」そうで、さまざまな機種の初飛行と同様に手を振って機外に出て、招待客から大きな拍手を受けた内幕を披露する場面もありました。

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