元シンガポール航空のA380、2機が解体・パーツ取り

元シンガポール航空のA380、2機が解体・パーツ取り

ニュース画像 1枚目:A380の組み立て時の様子
© AIRBUS S.A.S.
A380の組み立て時の様子

航空機リース・投資・マーケティングなどを手がけるドイツのドクター・ペータース・グループ(Dr Peters Group)は、A380の2機を解体、パーツ再販を決定したと発表しました。2機は完全な解体ではなく、コンポーネント確保のための解体で、特にトレント900エンジンはロールス・ロイスにスペアとしてリースバックされる予定です。

ドクター・ペータース・グループによると、この2機はシンガポール航空に10年間の長期リース契約を締結していた機材で、返却後はブリティッシュ・エアウェイズ、ハイフライ航空、イラン航空などと交渉が続けられてきました。リースによる投資家への利回りを確保する取り組みが行われたものの条件があわず、打開策としてコンポーネントを再販することで利益確保を目指します。

シンガポール航空は4機のA380をリース元に返却済みで、同社では「9V-SKA」「9V-SKB」「9V-SKC」「9V-SKD」として登録されていた機材です。「9V-SKA」は2007年、その他3機は2008年に納入された機材です。このうち、「9V-SKA」は「2-DRPA」としてチャンネル諸島での登録、「9V-SKB」はマルタで「9H-DPB」としてハイフライ航空での運航が予定されています。なお、「9V-SKC」は、Doricがリースしていた機材です。

パーツ再販は、エアバス系でアメリカを拠点とする航空機関連の再販事業を手がけるVASアエロ・サービス(VAS Aero Services)が担当します。VASの予備調査によると、市場にあるA380が今後迎えるメンテナンスの時期をにらみ、再販で4,500万ドル、日本円でおよそ49.4億円の販売額を見込んでいます。特に着陸装置、補助動力装置などはすぐに売却できると予想しています。

エンジンはロールス・ロイスのトレント900エンジンの需要が高まっていることを受け、このメンテナンスに伴うロールス・ロイス、または航空会社へのリース契約により最低でも月480,000ドル、日本円で5,272万円の収入を見込んでおり、2020年末に売却する計画です。

ドクター・ペータース・グループはこの発表において、A380-800は近年、市場として発展しておらず、一部の航空会社の発注取りやめ、あるいは長距離旅客機でより小さな機材を選択する傾向にあり、市場は超大型機に懐疑的な中で、収益を確保できる優れた提案としています。

この記事に関連するニュース
メニューを開く