ベル次世代高速VTOL機コンセプト、回転翼のホバリングとスピード融合

ベル次世代高速VTOL機コンセプト、回転翼のホバリングとスピード融合

ニュース画像 1枚目:ベル次世代高速VTOL機コンセプト
© Bell Textron Inc.
ベル次世代高速VTOL機コンセプト

ベル・テキストロンは2021年8月3日(火)、軍用の次世代高速垂直離着陸機(HSVTOL:High-Speed Vertical Take-Off and Landing)の新たな設計コンセプトを発表しました。HSVTOL機は、回転翼機のホバリング機能と戦闘機の速度、航続距離、高い生存性の機能を融合させた航空機です。

公開されたレンダリングでは3機種を紹介。コクピットの窓の有無から、3機のうち2機は有人機、1機は無人機と見られます。3機は空気を取り入れるインレットが異なる場所に付けられており、この部分は用途により異なる仕様、またはコンセプト段階と見受けられます。胴体はピアッジョ P.180 アヴァンティのように中央部分が膨らむ形が採用されています。細かくは、左上の機体には「U.S. AIR FORCE」と明記され、アメリカ軍の海・空・海兵隊で使用されているMV-22オスプレイの様に各部隊への導入を想定した模様です。

ニュース画像 1枚目:レンダリングの拡大、左上の機体には「U.S. AIR FORCE」と明記
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レンダリングの拡大、左上の機体には「U.S. AIR FORCE」と明記

さらに、このレンダリングの特徴はローターを閉じて巡航している様子です。ティルトローター機はプロップローターの3枚ブレードの向きを上、または前に可変して垂直離陸と巡航に切り替えていますが、新コンセプト機は巡航時にプロップローターを閉じています。ベルはこれまでに、将来の「コンバーチブルエンジン」としてターボシャフトモードとターボファンモードを切り替えて飛行することで、現在のティルトローター機のMV-22オスプレイよりスピードが速くなる模様です。

ニュース画像 2枚目:レンダリングの拡大、中央の機体。前方がシャークの絵が描かれており海軍などを想定か
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レンダリングの拡大、中央の機体。前方がシャークの絵が描かれており海軍などを想定か

ベルの説明によると、HSVTOLは回転翼機の機能を改善し、リスクを軽減しながら、デジタルエンジニアリング環境で迅速に開発を進めます。主な機能には、低ダウンウォッシュ・ホバリング機能、400ノット(時速780キロメートル)超とジェット機のような巡航速度、滑走路いらずの離着陸能力とホバリングの耐久性を備えます。空虚重量は4,000ポンド(約1,810キログラム)から100,000ポンド(約4,530kg)の範囲が想定されています。

ニュース画像 3枚目:レンダリングの拡大、他の2機と違いコクピット窓が無く無人機とみられる
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レンダリングの拡大、他の2機と違いコクピット窓が無く無人機とみられる

ティルトローター機の機能、進化したデジタル飛行制御の技術投入、新たな推進技術の融合で、HSVTOLを進化させ、滑走路に依存せず、生存性が高く、任務に柔軟に対応できることが重視されています。特に、アメリカ軍の水陸両用作戦、長距離の潜入・脱出任務、補給などの任務が想定されている模様です。

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