ボーイングは2015年3月18日、757を使用したecoDemonstratorプログラムを開始したと発表しました。ecoDemonstrator 757の飛行試験は、TUIグループが航空機を提供し、ボーイング、アメリカ航空宇宙局(NASA)が協力し、騒音や炭素排出量を削減する新技術を評価し、営業飛行の効率改善を目指します。
ボーイングのecoDemonstrator 757飛行試験は、空力の効率化を中心にテストプログラムが組まれています。これにより、燃料の使用量を減らし、炭素排出量を削減することにつなげます。新技術は、アクティブフロー制御、主翼コーティングに「bug-phobic」技術などを採用しています。
左主翼は、空力をより効率的にする方法として、自然層流に対する環境影響を低減する技術を評価します。飛行試験に使用するecoDemonstrator 757には、その主翼先端を昆虫から保護することができるクルーガー・シールドをテストします。
右主翼では、NASAが「bug-phobic」技術により、昆虫がぶつかりその残留物を減らすコーティングをテストします。これにより主翼の抵抗低減を目指します。
垂直尾翼では、舵の空気の流れを改善し、その空力の効率性を最大化するため、アクティブフロー制御をテストします。すでに実施した風洞試験では、最大20%のラダーの効率化を図ることができ、将来的にはより小さい垂直尾翼の設計が可能になるとしています。
TUIグループは、旅行・観光を中心として傘下に航空会社を持つ世界最大の総合観光グループ企業で、炭素排出量の削減の取り組みとして、ボーイングに協力します。使用する機体の757-200は、元はユナイテッド航空の機材ですが、「N757ET」として登録され、胴体には「ecoDemonstrator」と「Boeing」のロゴに加え、「World of TUI」を加え、同社の協力を示しています。
試験飛行は2015年末まで行われ、ボーイングは2015年後半に追加のテスト項目を発表します。この飛行試験プログラムの終了後、航空機フリートリサイクル協会と協力し、757のリサイクルで最善の取り扱い方法について環境に優しい方法を研究します。
ecoDemonstratorプログラムは、アメリカン航空の737にはじまり、787のテスト飛行機と続き、今回で3機種目のテストとなります。