運輸安全委員会、那覇で発生した中国東方航空の滑走路誤進入で報告書

運輸安全委員会、那覇で発生した中国東方航空の滑走路誤進入で報告書

ニュース画像 1枚目:飛行場管制所から望む誘導路E0とE1付近。事故報告書から
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飛行場管制所から望む誘導路E0とE1付近。事故報告書から

運輸安全委員会は2015年5月28日、2012年7月5日(木)に那覇空港で発生した、エアアジア・ジャパンのA320が着陸進入中の滑走路に、離陸機である中国東方航空のA319が誤進入した重大インシデントについて、調査結果を発表しました。

このインシデントは、出発機である中国東方航空のA319、機体番号(レジ)「B-2332」が滑走路手前での待機を指示されたにもかかわらず滑走路に入ったため、既に着陸を許可されていたエアアジア・ジャパンのA320、機体番号(レジ)「JA01AJ」が同じ滑走路に着陸を試みる状況になったことにより発生したものと推定されています。

調査結果では、中国東方航空の「B-2322」が滑走路に入ってしまった原因として、 「B-2322」の運航乗務員が滑走路手前における待機指示を滑走路上における待機指示と聞き違えて誤解したこと、さらにエアアジア・ジャパン機を発見できなかったこと、並びにタワーの管制官が「B-2322」からの復唱の誤りに気付かずその確認と訂正を行わなかったことによるものと推定しています。

運航乗務員が指示を聞き違えたことについては、タワーの管制官からの待機指示の音声にノイズが発生していたこと、また、運航乗務員がエアアジア・ジャパン機を発見できなかったことについては、滑走路に入る許可を得たと誤解し、同機はいないと思ったことが関与した可能性が考えられるとしています。

なお、このインシデントは国際民間航空機関(ICAO)の「滑走路誤進入防止マニュアル」による危険度の区分で判定すると、衝突を回避するための十分な時間または距離があったインシデント「C」に相当するとしています。

これを受け、国土交通省航空局、那覇空港事務所では対応策を講じています。那覇空港では、滑走路北側の誘導路E0、E1が近接し、両誘導路に航空機が並んだ場合、飛行場管制所からはE0、E1上の航空機からは滑走路北側から進入する航空機が視認しづらく、潜在的に滑走路誤進入が発生しやすいとして滑走路状態表示システム(RWSL)を整備します。

また、大阪航空局那覇空港事務所は、この重大インシデント発生後、滑走路手前に待機を指示する場合、可能な限り関連機の交通情報や理由を付加する、可能な限りヘッドセットを使用し、ボイスチューブの位置に注意すること、航空機への指示で確実な復唱聴取を徹底することとなどを指示しました。

■ICAO 滑走路誤進入防止マニュアル危険度の区分
A:かろうじて衝突が回避される重大インシデント
B:間隔が狭まり、衝突の可能性がかなりあり、衝突を回避するために迅速な修正、または回避の操作を要するインシデント
C:衝突を回避するための十分な時間または距離があったインシデント
D:航空機の離着陸のため設定された保護区域で単独の車両、人、または航空機の不適切な存在という滑走路誤進入の定義には合致するが、直ちに安全に影響しないインシデント
E:不十分な情報、または確定できない、もしくは矛盾する証拠で、危険度の評価ができない

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