日本の公正取引委員会は2024年1月31日、大韓航空とアシアナ航空の企業結合に関する審査の結果、排除措置命令を行わないことを通知しました。
審査では、現在2社間で競合している大阪/ソウル線などの旅客便計7路線について、合併後の市場シェアが50~75%程度まで高くなることを指摘。フルサービスキャリア(FSC)間での競争が完全になくなってしまうことが懸念事項として挙げられました。また日韓間の国際航空貨物市場においても、合算市場シェアが60%を超え、2位以下との格差が増大することが指摘されています。
これに対し2社は、問題解消措置として、当該路線の発着枠スロットを特定の航空会社に譲渡すること、アシアナ航空の貨物運送事業を他者に譲渡することを提案。公正取引委員会は、これらの措置が取られることを条件に合併を承認しました。
大韓航空とアシアナ航空の合併については、韓国、台湾、中国、シンガポールなど計14の国と地域の競争当局による審査が実施。このうち、日本を含め既に12の国と地域で審査を完了しており、残すところ欧州連合(EU)とアメリカでの承認を待つのみとなります。なお、EUの欧州委員会は2023年5月に、この合併に対する懸念を表明、承認審査の過程で異議申し立てを行っています。
■大韓航空・アシアナ航空合併にあたり発着枠が他社に譲渡される路線
大阪/ソウル
札幌/ソウル
名古屋/ソウル
福岡/ソウル
大阪/釜山
札幌/釜山
福岡/釜山