2019年秋の帰国旅行6便目-経営破綻から10年、JAL「New Sky Project」の機内食戦略 - JAL (日本航空) 口コミ・評価

航空会社 JAL (日本航空)

2024年04月21日に撮影されたJAL (日本航空)の航空機写真

© SPLKKさん

第2次大戦後の1951年8月1日設立。1951年10月25日...
日本
IATA | ICAO
JL | JAL
アライアンス
ワンワールド

搭乗レビュー
2019年秋の帰国旅行6便目-経営破綻から10年、JAL「New Sky Project」の機内食戦略

航空会社
日本航空
便名
JL407
エコノミー
搭乗日
2019/11
路線
成田(東京) → フランクフルト
機体記号
JA861J
機材
Boeing 787-9
総評:5
5ッ星
機内食・ドリンク
5ッ星
座席(シート)
5ッ星
機内スタッフサービス
4ッ星
エンターティメント
4ッ星
トイレ・洗面台
5ッ星
機材コンディション
5ッ星
地上サービス
4ッ星
口コミ投稿者
MaplecroftInnkeeperさん
アクセス数
894
投稿日
2019/11/17

搭乗写真

  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    これから乗る飛行機の姿が見えると、ち... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    離陸して間もなく、富士山がきれいに見... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    ワインはJALのオリジナルワインです... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    1食目は、「新時代の若き料理人たち」... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    さらにデザートにハーゲンダッツアイス... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    フライトの半ばで出てきたおやつは、「... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    到着2時間半以上前に出た2回目の食事... 続き

総評

楽しかった日本滞在も、またあっという間に終わってしまい、成田から飛び立つ日が来てしまいました。早めに空港に着いて出国手続きを済ませ、誰もいないゲート前の待合場所で座ってボーッとしているうちに、気が付くと、いつの間にか、これから海外旅行に出発する人たちでざわめいていて、ウキウキ、ワクワクの雰囲気が満ちていました。そんな中で自分は、今度はいつ帰国できるのかと思うと、ふと寂しい気分になります。

今回はJALに乗ってみようと思って、フランクフルトから成田までの往復ということでチケットを購入したのですが、往路は、フィンエアーとの組み合わせでヘルシンキ経由、帰りは、フランクフルトまで直行便です。自分の理解では、たいてい乗継のある経路の方が安いという思い込みがあるのですが、なぜか直行便を含む経路の方が安くでてきました。もちろん往復共に直行便にすると、やはりだいぶ値段が高くなってしまいます。もっとも、JALだとヨーロッパの経由地といっても限られてしまって、ヘルシンキか、ロンドンしかないですね。それ以外だと、パリでもモスクワでも、同じアライアンス内のエアラインでフランクフルトまで行こうとしたら、考えただけでも面倒くさそうです。帰りはBA利用のロンドン経由というのも確かにあったし、値段も少し安かったのですが、JAL利用ではなく、なぜか全部BAだったのでやめました。今回の旅では、初めてのJAL国際線に乗ったのですが、特に日本発のJALに乗ってみたかったんです。その理由は下に書きます。

さて、とうとう日本を離れるときが来たという、やや沈んだ気分でボーディングブリッジを歩いて飛行機にたどり着くと、笑顔のCAさんに迎えられ、「いってらっしゃい」という雰囲気に少し励まされました。無事に飛行機に乗り込み、自分の席に落ち着くと、ボーッとしている間に、いつの間にか離陸準備が整っていました。そして何事もなく離陸してしばらくすると、機内食のサービスが始まりましたが、日系のエアライン、特に日本で積み込んだ機内食は、選択肢のどちらを選んでも、見るからに日本を感じさせるので、まだ日本にいるような錯覚と、すでに懐かしいような思いとが混じった複雑な気分になります。

機内食と言えば、JALは10年前の経営破綻以来、機材や客室だけでなく、機内食の分野でも積極的な取り組みを繰り返してきました。その中心になっているコンセプトは、空のレストランを再現しようというようなもので、まず思い浮かぶのは、AIRシリーズです。これは、2011年6月から第1弾としてモスバーガーとのコラボにより「AIR モスバーガー」というのが、長距離の欧米線に登場したのが最初だったと思います。庶民的な有名店とのコラボによる食事を、長距離の欧米路線の2回目の食事に取り入れたもので、きっとそういうホッとするような味を楽しくいただけるような企画で、受けがよかったのでしょうね。それ以来、モスバーガーとのコラボでは、ライスバーガーとかテリヤキバーガーとか、色んなものが登場しましたし、第1弾のモスバーガー以来、AIRシリーズでは、吉野家、くまモン、ケンタッキー・フライド・チキン、スープストック・トーキョー、蔦のそば、たいめいけんのタンポポオムライス、大勝軒つけめんなど、色々なレストランとのコラボが登場し、今年の秋で第33弾を迎えています。

2013年1月にJALは、「New Sky Project」の一環として、「Welcome! New Sky」のスローガンのもと、新しい機内食のコンセプト「空の上のレストラン」による全面的な機内食サービスの刷新を開始しました。ファーストクラスとビジネスクラスでは、4人のシェフによるチームを結成して、「BEDD」と名付けたスカイオーベルジュを展開します。エコノミーでは、「JAL Kitchen Gallery」として、2011年に始まったAIRシリーズの継続に加えて、トレーのサイズをそれまでの1.5倍に大型化し、食器も赤を強調していくつかの工夫を取り入れた新しいデザインにするなどのイメージ改善を図りました。2013年1月と言えば、全クラスリニューアルされた新しいインテリアのSKY SUITE 777がロンドン線に登場したのと同じ時期ですね。

2013年9月からは、ホノルル線に「俺の機内食」シリーズが導入されました。これは人気レストラン「俺のフレンチ」などを展開する俺の株式会社とのコラボによるものです。ハワイ線はJALにとって、1953年に就航した初めての国際線だったこともあり、特に力を入れようという思いがあったようですね。その後、2016年9月からは、資生堂パーラー監修によるメニューに代わり、2018年9月からは、レストラン「L'Effervescence」(レフェルヴェソンス)の料理長が監修するメニューに代わっています。

欧米線のエコノミークラスでは、2015年9月から、1食目に、フードスタイリストの飯島奈美さん監修によるメニューが提供されました。日本の家庭で馴染みのある、ホッとするようなメニューということでした。2017年9月からは、「新時代の若き料理人たち」によるメニューとして、RED U-35(「Ryorinin Emerging Dream Under 35」の略で、2013年に始まった、将来を夢見る35歳以下のシェフを対象とした料理人コンクール)のファイナリスト6人を起用してメニュ-を開発し、3か月ごとにメニューを変えるという試みが始まりました。この時の大胆な特徴は、選択肢から和食を落としたことです。近年、外国から日本を訪問する旅行客が増えていて、時には半数以上が外国人ということもあるということを考慮しての決断だそうです。(これについては意見を下に書いてみます。)最初のメニューは、フレンチと中華でした。こうした若いシェフたちにとっても、機内食のカバーに顔写真付きで名前が載るので、多くの人に顔と名前を覚えられる絶好の機会ですから、きっとやりがいのある仕事に違いありませんね。これで、欧米線は2食目のAIRシリーズに加えて、1食目も新しい楽しみができたわけです。

香港や台湾、中国各地の短距離路線でも別の取り組みが進められ、2011年5月に始まったJALの地域活性化の取り組み「JAPAN PROJECT」の一環として、2016年6月から、北海道をテーマにしたメニューが提供されました。2017年6月からは、九州のご当地グルメメニューがこれに加わりました。2018年6月から11月までは、これらの路線に日本料理店「賛否両論」の監修によるメニューが取り入れられました。2018年12月から2019年5月までは、JALのケータリング会社「ロイヤル」が開発した「空の上の洋食屋」という洋食メニューが提供され、2019年6月からは、再び「賛否両論」の監修メニューになっていますので、半年ごとに洋食と和食が入れ替わっている形でしょうか。

2007年に導入された国内線ファーストクラスも、機内食は経営破綻後に色々と変化を遂げてきました。初期の頃は、朝食帯(~10:59)、中間帯(11:00~16:59で、和食または洋食の軽食とスイーツ)、夕食帯(17:00~)だったのが、2014年には中間帯を昼食帯(10:30~13:59)と茶菓帯(14:00~16:59)の2つに分割して、昼食を提供し始め、現在では、茶菓帯というのはなくなり、10:30~16:59は昼食帯となっています。メニューも、2013年には朝食にフルーツが加わったり、2011年に始まったJAPAN PROJECTの一環として、絶えず色々な地域の色々な食材が取り入れられ、色々な人達が監修しているようです。

機内食って、飛行機に搭乗するときの大きな楽しみの一つですよね。そのエアラインのイメージのかなりの部分を占めてしまうと思うのですが、それだけに、こうした色々な取り組みには、相当な試行錯誤や苦労があることだろうと思います。でも、ここまでこだわって色々な試みを続けた努力が実って、それまでエコノミークラスはシート部門だけが世界一だったのが、2019年にはエコノミークラス総合で1位を獲得するまでになったのではないかと思います。

そんなことを思いながら、1食目はどっちにしようかと迷いました。グランプリ受賞シェフのフレンチにするか、準グランプリ受賞シェフの中華にするか・・・。和食を選択肢から外して、中華を入れたということですが、外国人旅行客が増えたからという理由は単なる言い訳に過ぎなくて、実はJALの社長が中華が好きだから、料理人コンクールの3部門のうち2つに絞る際に、独断と偏見で中華を入れたのではないかと、自分としては思っています。だって、日本に来る外国人客でJALを選ぶような人は、逆に和食が食べたいだろうと思うし、和食より中華が食べたいなんて思う人は、よっぽど中華が好きな日本人か、せいぜい中国系の客だろうと思いますが、欧米路線にそんな中国系の客が多いとは思えません。

それに、中華と言っても、今回の内容は牛肉のトマトソース煮で、見た目も味も純粋な中華とも思えないし、もう一つの選択肢も、フレンチといってもご飯が半分を占めているので結局は和製洋食で、欧米人の目から見ると、日本の食べ物としか映らないと思います。つまり、あっさり系の純粋な和食じゃないというだけで、結局どちらも日本人向けのメニューではないでしょうか。迷った結果、中華の方にしましたが、確かに、トレーも大型で、赤い色が食欲をそそるし、中身は見た目も鮮やかな赤い色がきれいで、おいしく、楽しくいただきましたし、こうしたコラボの努力は、他社ではまず見られないJALならではですね。

JALは、ワインもオリジナルで、2人のソムリエがJALのためにフランス産のブドウをブレンドして作ったものです。それ以外にも、JALオリジナルのキウィジュースなんていうのもあるし、そんなこだわりは、他のエアラインでは見たことがないし、高く評価したいです。

途中、6時間ほど経過したころに、おやつが出ましたが、突然バチっと電気がついて明るくなり、パン1個と飲み物が配られました。睡眠の途中で起こされた人も大勢いたのではないかと思います。そんなことせずに、ギャレーにおやつを用意しておいて、食べたい人が好きな時に行って取れるようにすれば、睡眠の邪魔にならないと思うし、おやつも、サンドイッチや甘いものなど、色々用意しておけば、取りに行っても楽しいのにと思います。

2食目はAIR 吉野家でした。吉野家とのコラボは、2012年に始まって以来、1年ぶりなんと8回目の登場なんですね。もうここまで来ると、日本から遠く離れてしまったという気分が強くなっている中、こういうものを目にすると、懐かしいような思いです。外国人のことを考えてあえて和食をはずしたなどと言っておきながら、2食目は選択肢がなく、牛丼というのは外国人にはどうかとも思いますけど、自分としては、これもおいしく、楽しくいただきました。到着3時間近くも前にバチッと電気がついて、2食目の準備が始まってしまったのは、タイミングとして早すぎると思いましたけど、きっとクルーの方が、ギリギリというのが嫌なのでしょうか。もっとギリギリまで寝ていたいと思う人もいるだろうにとは思いますけど、自分としてはどちらでもいいです。まあ、一昔前だったら、こういう長距離便では2食目も2種類から選べるフルミールだったはずです。一昔とまで言わずとも、数年前に乗ったカタールの東京便でも、2食とも同じボリュームのフルミールでしたし、途中のおやつも、サンドイッチやフルーツ、ケーキなど、色んなものがギャレーに用意されていました。

ヘルシンキ発のJALも満喫しましたけど、帰りに日本発のJALをはずしたくなかった理由というのは、この2つの機内食だったんです。どちらも、JALの10年間の苦労の結晶という感じがしましたし、JALが日本のキャリアであり、日本人に人気がある理由も見えたと思いました。

そうこうしているうちに、飛行機は着陸態勢に入り、この年になって初めて乗ったJALの国際線の体験もこれで終わりました。

この便の搭乗体験を動画にまとめてみましたので、そちらも是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=LOcsWxRXEeY

フライトログ

搭乗の詳細データです。

座席番号
52A
搭乗クラス
エコノミー
区間マイル
5,820
出発予定時刻
11:00
到着予定時刻
15:15

コメント

  • MaplecroftInnkeeperさん、
    久しぶりの一連の投稿楽しみにしております。
    今回の帰省はJALを搭乗されて、外航とは違う、日系キャリアの洗練されたサービスに、改めて感動された、ということを感じられたと思います。
    小生は今夏渡欧した際に日欧線はJALに搭乗しました。それで今回の一連の旅行では全フライトログを取らせていただきましたが、それから見ても日系キャリアの洗練さというのを改めて実感いたしました。
    もちろん、外航は外航で不満を述べる点は特になく、同行の妻はフライトの度に折り鶴をCAさんにプレゼントし、日本文化の訴求をされていました。
    運営される宿へ戻られましたら、VTから日本ははるか彼方でしょうが、貴殿が日本を紹介していただき、一人でも多くのお客さんが日本に関心を持っていただき、そして訪れてほしい、と願わずにはいられません。そのための映像を制作されたのではないかと我ながら思います(もちろん拝見いたしました)。こちらも、「日本のキャリアはこうである」ということを日本以外の方に紹介するツールになればと願っています。
    FRAからNYCへの帰途の投稿も、引き続き楽しみにしております。ありがとうございました。

  • 2019/11/17 23:02:21

    あなたにオンタイムさん、
    コメントありがとうございます。そうですね、日系は他とはかなり違う感覚があり、本当に細部にまでこだわって気を使っているのがわかりますね。この便でも、私は窓側席で、寝ていて気が付かない間に、窓にシリコンの黒いシートがペタっと張り付けられていて、これはいったい何だろう?もしかして電子シェードが機能していないのかなとも思ったのですが、ちょっとめくってみると、ちゃんと暗くなってるし、窓に何かの不具合でもあったのかと思って、ずっとそのままにしておいて、最後の機内食が配られる際に、「これは何ですか?」と聞いてみたら、窓から光が差し込んでいて、お休みになっていらっしゃるのに都合か悪いかと思って、窓に貼らせていただきましたと言われ、はがして構わないというので、持って行ってもらいました。外国キャリアでは、そこまで気を使ってくれるCAさんはまずいません。そういう意味で、改めて驚かされた搭乗体験になりました。
    ヨーロッパに大きな旅行をなさって、飛行機にもたくさん乗られたんですね。暖かいギリシャ、一度行ってみたいです。こちらは今朝の気温がマイナス16度でした。

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