アシアナ航空の機体動揺事故、気象レーダーはオフ、機長は情報に気付かず

アシアナ航空の機体動揺事故、気象レーダーはオフ、機長は情報に気付かず

運輸安全委員会は、2012年8月21日にアシアナ航空が運航していたA330-300、機体記号(レジ)「HL8258」の機体動揺による負傷者が発生した事故について、2014年7月25日付で報告書を発表しました。この事故は、ホノルル発仁川着のOZ231便で、島根県松江市の上空、高度約40,000フィートで発生しました。

当時は、機長など乗務員14名、乗客206名の計221名が搭乗しており、34G、37Jの2名が重傷、機体後部右側の化粧室で1名が軽傷でした。機体に損壊はありませんでした。

この機体動揺の発生当時の現場付近は、積乱雲が発達しており、周辺を飛行する航空機は東京ACC(エリアコントロールセンター)と「CB(積乱雲)」「Deviation(コースからの偏位)」などの用語を頻繁に使い、交信されている状況でした。

その状況下で、機長と巡航中に機長業務を行うルート機長の2人とも、正常に動くはずの気象レーダーがオフであったことに気付きませんでした。また、近くを飛行していた航空機への落雷情報など悪天候の通報が交信内容から聞こえていたにも関わらず、機長は現在の飛行中の状況ではなく、その後の操作要領の確認を行っていたことから、天候情報に気づいていなかったことを要因にあげています。

さらに報告書では、3人の副操縦士を含めた運航乗務員の意思疎通、引き継ぎが適切に行われていないこと、管制機関への乱気流の通報遅れ、機長がICAO基準の「Severe Turbulence」ではなく「Big Turbulence」を使い、東京ACC(エリアコントロールセンター)が乱気流の通報と認識できず、用語の使用が適当ではないと指摘しています。

韓国の国土海洋部は2012年9月にアシアナ航空に機内のシートベルト着用のアナウンス強化、再発防止の教育実施など改善勧告を行っています。

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