帰宅路3便目-知られざる機内食の隠れた効果 - エア・リンガス 口コミ・評価

航空会社 エア・リンガス

2023年05月19日に撮影されたエア・リンガスの航空機写真

© Kiyo.Hさん

IATA | ICAO
EI | EIN

搭乗レビュー
帰宅路3便目-知られざる機内食の隠れた効果

航空会社
エア・リンガス
便名
EI595
エコノミー
搭乗日
2014/04
路線
マドリード → ダブリン
機体記号
EI-DVN
機材
Airbus A320-214
総評:3
3ッ星
機内食・ドリンク
3ッ星
座席(シート)
3ッ星
機内スタッフサービス
4ッ星
エンターティメント
2ッ星
トイレ・洗面台
3ッ星
機材コンディション
4ッ星
地上サービス
3ッ星
口コミ投稿者
MaplecroftInnkeeperさん
アクセス数
1,053
投稿日
2014/04/12

搭乗写真

  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
  • 写真の種類:座席(シート)
    シートピッチは狭いです。黒っぽい革張... 続き
  • 写真の種類:機窓・風景
    機内の様子。あんまりパッとしない陰気... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    ウェブで事前購入した機内食。メニュー... 続き

総評

成田を夜10時半に出発して、マドリッドに着くまで、飛行機だけで20時間、途中の乗り継ぎ時間が2時間半ということで、もうこの時点で体内時計は夜9時です。現地時間は午後2時。早めに夕食を取って、さっさとおやすみなさいしたいところでしたが、そうは問屋がおろさず、続いて夜8時半の便に搭乗です。

しかし、実は当初予約したのはこの便じゃありませんでした。本当はこのままマドリッドで一泊し、翌朝の便でダブリンにお昼頃着いて半日観光、その翌朝の便に乗って帰宅という計画だったんです。ところがある日「スケジュール変更のお知らせ」と題した不吉なメールが舞い込んできて、開けてみたら、朝の便そのものが消えてなくなってしまったらしく、夜8時半の便に変わっていました。そんなに遅くては半日観光どころじゃなくなってしまうので、すぐ電話して、しんどいのを覚悟の上、マドリッドに着いた同じ日の夜の便に変えてもらったんです。当初予約した便が消えてなくなっちゃったっていうの、この3年間毎年経験しています。よっぽど日頃の行いが悪いんでしょうか。

さて、エアーリンガスは位置づけとしてはLCCではありませんが、料金体系はLCCに似ていて3段階あります。一番安い料金では事前座席選択も有料、荷物を預けるのも有料、キャンセル、変更不可など色々制約が付いてきます。真ん中の料金では、追加料金なしで事前座席選択と、20キロまでの荷物を1つ預けることができます。一番高い料金はいわゆる「正規料金」で、キャンセル、変更も可でラウンジ利用もできます。自分は預け荷物もあるし、早めに座席も確保したかったので、真ん中の料金にしました。たしかに、予約した時、同時に座席も選べましたが、いったん選んだ座席は、後から変更はできないみたいです。ウェブで予約番号を入力して予約内容を確認したり、変更やキャンセル(有料)など色々できるのに、座席はいじれないというのはいじわるですね。小さい飛行機だし、短距離なので別にかまいませんけど、他社に比べるとやや自由が拘束されたような気になってしまいます。

サービスがLCC並ということは、機内食も全て有料ですが、よほど疲れているだろうし、食事をしながらホッとしたいと思って、事前に機内食をウェブで予約しておきました。サンドイッチなどの機内販売ももちろんありますが、事前オーダーの機内食なんていうサービス自体、そもそもアメリカには存在していないので、未経験。そこで興味本位で試してみることに。

エアーリンガスは2か月くらい前に、テレビにも出演する有名な美人シェフのClodagh McKennaさんとのコラボレーションが導入され、メニューが新しくなりました。地元アイルランド産の材料使用を売り物にしてちょっとヘルシーになった感じです。ただし、ウェブの写真では見た目もオシャレなイメージになっていますが、機内で絶対こんなふうに出されるはずないよなと思った通り、実物は小さいトレーにこまごましたものがひしめくように載っていて、過剰包装がかなり目立ち、とてもおしゃれとは言えないもの。トレーが目の前に置かれてから、ビニールの包装を破いて中身を出す、プラスチックの蓋を開ける、ドレッシングをかける、バターを塗るといった一連の準備作業を終えて口に入れられるまで、かなり時間がかかりましたし、袋や蓋などの置き場所にも困りました。食べ物よりゴミの方が多い感じですね。まあ、以前が味気ないボックスミールだったのに対し、トレーになったところが改善と見られないこともないですけど、ごみの処理を考えると、どちらの方が現実的か…。

値段は以前と同じ€7.50(=約1,100円)ですが、内容的には、以前のボックスミールがビーフかチキンだったのに、肉類が消滅してしまい、キーシュ+ルッコラのサラダ(ブラウンブレッドとクッキー、コーヒーまたは紅茶がつく)か、キンワサラダ+フルーツ(グルテンフリーのクラッカー、チョコビスケット、コーヒーまたは紅茶がつく)というメニューで、かなり小さいので、やや物足りなさを感じる人もいるのでは。まあ、機内食なんてたくさん食べればいいってものでもなくて、やっぱり目を楽しませてくれるような要素も必要だし、ごみの処理も退屈しのぎの効果があると思えば、努力は認めるべきですね。

ところで、機内食が初めて飛行機に登場したのは1919年10月のことで、イギリスのHandley-Page(後のブリティッシュ・エアウェイズ)が飛ばしたロンドン-パリ線で、サンドイッチ、フルーツ、チョコレートといった内容の簡単なランチボックスが有料で提供されたのが始まりです。この会社、大戦中に戦闘機を製造していたのが、戦後になって貨物旅客輸送の会社として再スタート、大戦中に使用された戦闘機を旅客用に改造して運航したそうで、この時の乗客はたった4人だったということです。そんな飛行機だから、寒い、うるさい、揺れる、酸素が薄い、というひどい状態で、物を食べるどころか、2時間の飛行中よく失神もせずに正気を保てたと感心するようなもんですよね。

1927年7月には、エアーユニオン(後のエールフランス)が、オードブル、サラダ、チキンやハムの冷製、フルーツ、チーズ、デザートといった、冷たいながらフルミールを初めてサービス。またワインやウィスキーなどの酒類も並べました。さらに1928年4月には、ルフトハンザのベルリン-パリ線に「フライング・ダイニングカー」と呼ばれたG31型機が登場して、初めて機内でホットミールが出されました。もちろん今のように機内食のケータリング会社なんて存在していない時代だし、搭乗人数もせいぜい10~20人程度なので、ホテルやレストランが直前に準備した食べ物を保温性の容器に入れて積み込み、機内で盛り付けをして出すだけです。アメリカでは、ユナイテッドが1936年に導入したDC3型機に本格的なギャレーが設置され、テーブルクロスが敷かれた上にプラスチック製のお皿やカップなどの食器類が並ぶ、レストラン並みのホットミールが出されるようになりました。40年代には、軍人の機内食用に、調理済冷凍食品で1人分1回分ずつパックになったものが、その加熱用オーブンとともにアメリカで開発され、大戦の終了にともなって需要が減ってきたのを機に、パンナムがそのシステムを導入、かなり効率的で味も見た目もよい食事が出されるようになりました。その後50年代に開発されたB737で 、ギャレーにオーブンや冷蔵庫などが配備されて、もっと本格的な食事サービスが可能になりました。

こうしてみると、本当にごく短距離しか飛べない初期のころから、機内食は重要なサービスとして位置付けられていたんだなとわかります。飛行機の旅がまだ真新しかった時代ですし、空を飛ぶことに対する恐怖心というのもきっとあったんでしょう。機内食はお腹を満たすだけじゃなく、そうした恐怖心を和らげてリラックスするのを助ける効果もあるそうですよね。特にタンパク質と炭水化物を一緒に食べるとセロトニンの生成を促して、気分をリラックスさせ、眠気を催す効果があり、脂肪分は胃腸内に膜を作って食べ物の吸収を遅くし、血液の胃腸への循環を長引かせるために、その分脳への循環が鈍ってやはり脳の働きが鈍り、眠気を催す原因になります。ということで、事前に予約した機内食をおいしくいただきました。やっぱり食べたらホッとして眠くなりました。

さて、飛行機は、往路とは打って変わって、静かでごく平和なフライトでした。ダブリンには定刻通り夜の10時に無事に到着、入国、通関、さらに市内までバスで40分くらい。ホテルの部屋にたどり着いたのは、東京の家を出てからかれこれ37時間です。まあ、ダブリンで2泊することになり、半日観光から丸1日観光になったわけで、無事に着いたし、よしとすることにします。

アイルランドって、90年代まで北アイルランドを巡って長いこと暴動が繰り返され、何千人もの人が亡くなった悲しい歴史のある場所です。カトリック、プロテスタントという宗教の違いが、争いの大きな原因ですね。そんな昔のことじゃないですけど、もし今でもそういう状況だったら、アイルランドに寄り道しようなんて考えなかったと思います。いとも簡単に飛行機に乗って手軽に世界中どこでも行ける時代に、宗教やイデオロギーの違いによる醜い争いで情勢不安定なために、怖くて行けないような場所がたくさんあるって、悲しいことですね。世界平和を望む気持ちでいっぱいになります。そういう気持ちで、ダブリンの街を歩いてみることにしました。

フライトログ

搭乗の詳細データです。

座席番号
8C
搭乗クラス
エコノミー
区間マイル
901
出発予定時刻
20:35
到着予定時刻
22:10

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