2018年秋の旅3便目-2つの大戦、そして内戦にもまれて、南米制覇を夢見たエアライン - イベリア航空 口コミ・評価

航空会社 イベリア航空

2023年07月14日に撮影されたイベリア航空の航空機写真

© xingyeさん

IATA | ICAO
IB | IBE
アライアンス
ワンワールド

搭乗レビュー
2018年秋の旅3便目-2つの大戦、そして内戦にもまれて、南米制覇を夢見たエアライン

航空会社
イベリア航空
便名
IB3191
ビジネス
搭乗日
2018/11
路線
ミュンヘン → マドリード
機体記号
EC-KHM
機材
Airbus A319-111
総評:4
4ッ星
機内食・ドリンク
5ッ星
座席(シート)
3ッ星
機内スタッフサービス
4ッ星
エンターティメント
無評価
トイレ・洗面台
無評価
機材コンディション
4ッ星
地上サービス
4ッ星
口コミ投稿者
MaplecroftInnkeeperさん
アクセス数
556
投稿日
2018/11/09

搭乗写真

  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    飛行機が到着します。機体外観の写真が... 続き
  • 写真の種類:搭乗時の写真一般
    搭乗口付近の写真。混雑していることも... 続き
  • 写真の種類:座席(シート)
    個人モニターはなく、雑誌の収納が上の... 続き
  • 写真の種類:座席(シート)
    このように、座席背面の下半分を大きく... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    機内食のメニューカードが配られました... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    赤ワインも、2種類あって、これはリベ... 続き
  • 写真の種類:機内食・ドリンク
    機内食は、量が少ないので、普通のペー... 続き

総評

楽しかった旅もあっという間に終りが来てしまい、再びミュンヘンに戻ってきました。ここ数年、家族訪問で日本に帰国する際に途中に少し寄り道して、飛行機にたくさん乗るというのが自分にとっての旅でしたが、今回は日本には帰国せず、ヨーロッパで鉄道にたくさん乗ろうという企画を立てました。最初のアムトラックと飛行機、フェリーやバスも入れると、9日間で合計80時間以上も乗ったことになります。乗り物好きにとっては、本当に楽しい旅になりました。

ミュンヘン空港は、ヨーロッパ唯一の五つ星空港です。スカイとラックスの五つ星評価を得ている空港は世界で9か所しかなく、その中に日本の羽田とセントレアの2つも堂々と入っているのは立派ですが、その他は、ソウルの仁川国際空港、香港国際空港、シンガポールのチャンギ国際空港、中国の海口美蘭国際空港、カタールのハマド国際空港、アゼルバイジャンのバクーにあるヘイダル・アリエフ国際空港、そしてこのミュンヘン国際空港です。しかし、それほどキラキラ、ピカピカというほどでもないし、各種施設が特に充実している印象もなく、ルフトハンザのトランジットでも利用したことがありますが、ここがなぜそんなに優れているのか、よく理解できません。唯一、アメリカの大きな空港のように、何十ものゲートを何十分も歩かされるということがなく、チェックインやセキュリティーが比較的スムーズなことくらいでしょうか。

帰りの飛行機は初めて乗るイベリア航空です。日本にも成田便が、一時期撤退していましたが、2年ほど前から再開され、ついこの間の10月から週5便に増便されていますね。日本からだと、マドリッドはヨーロッパ旅行の拠点にするには西に寄り過ぎているような気もしますけど、増便しているということは、需要があるということなのでしょうか。アメリカ在住の自分は、あまり目を向けたことのないエアラインです。しかし、歴史は古く、創設は1927年と言われています。

第一次大戦後、航空業が厳しく制限され、特に敵国のフランス上空の飛行がまったくできなくなったドイツは、外国との行き来は主に船舶に依存していましたが、南米などに投資や貿易関係などの利害があっため、その足掛かりとして、中立を維持していたスペインに目を向けました。そこで、ドイツのDeutsche Luft Hansa(現在のルフトハンザの前衛)が、スペインの大企業家、投資家のオラシオ・エチェベリエタと共同で110万ペセタを出資して、航空会社Iberiaが設立されたのです。最初の航空便はマドリッド‐バルセロナ間で、所要時間は3時間半と、現在の列車とほぼ同じ時間がかかりました。そして翌年には、バルセロナからマルセイユやジュネーブ、チューリッヒなどを経由して、ドイツのシュツットガルト、ライプツィッヒ、ベルリンまでを結ぶ航空路線が認められ、ドイツとスペインの間を航空便で行き来することができるようになりました。

が、それはつかの間で、当時スペインの独裁者だったミゲル・プリモ・デ・リベラが、スペインの航空会社は市民の利益に資するために、統合して国営企業とすべきだとの考えを示し、イベリア航空は他の航空会社と合併されてしまい、設立後わずか1年半で、営業活動を休止してしまいます。さらに、1930年代のスペイン内戦で、航空業は国内に限られてしまいます。しかし、イベリアの名称は登録が残されていたため、内戦中にイベリアは復活し、ドイツのDeutsche Luft Hansaからユンカース社製航空機JU52を調達して、国内線の活動を開始しました。1939年には、マドリッド‐リスボンの国際路線も復活します。

第二次大戦に入ると、それまで続いていたドイツとの関係を維持するのが難しくなってしまいます。イベリアは、1944年に国営化され、ドイツから離れるようにして、アメリカのマクドネル・ダグラス社の航空機を購入し始めました。 1946年には、戦後初めてのヨーロッパと南アメリカを結ぶ航空便として、DC-4によってマドリッド‐ブエノスアイレスに就航しました。その後、イベリアは南米路線に力を入れるようになります。さらに、1954年にはロッキード社のスーパー・コンステレーションを購入して、マドリッド‐ニューヨークの直行便が就航しました。こうして、国際的航空会社としての地位をどんどんと確立していきました。

1970年代には、B747やDC10などの大型機を導入して、中南米各地に周航します。それ以外にも、世界各地にネットワークを広げ、日本の成田にも1986年5月に周航しています。(ただ、成田便は1998年11月に撤退してしまい、18年近くも日本の空には姿を見せませんでしたが、ほんの2年ほど前の2016年10月に週3便で復活し、ついこの間の10月から、週5便に増えています。)そうして世界にどんどんネットワークを広げる傍ら、1987年にはルフトハンザやエールフランス、SASなどと共同で、各社の航空券を画一的に販売できる総合システムを立ち上げたIT会社、「アマデウス」を設立したりもします。さらに、中南米路線のマーケットで優位性を確保しようとしていたイベリアは、90年代に、アルゼンチンやベネズエラ、チリなどのラテンアメリカのエアラインの買収をはじめますが、特にアルゼンチン航空の業績が悪く、結果が出ないまま、その立て直しや営業の効率化などに多大な投資を強いられてしまいます。そのほか、90年代には自社のウェブサイトを立ち上げたり、独自のマイレージプログラムを立ち上げたり、ワンワールドに加盟したりと、それなりに業界の波に乗った発展を遂げます。

90年代は、航空産業の自由化、エアラインの民営化、LCCの台頭などにより、レガシーキャリアがアライアンスを組んだりする時代でしたが、2001年以降は、エアラインの吸収合併が進んだ時代だと言えます。これについての話は、長くなってしまうので、次のレビューで触れるとして、イベリアもその流れに乗って、90年代の終わりに民営化され、2000年代の終わりには、ブリティッシュ・エアウェイズと合併して、新会社IAC(International Airlines Group)が誕生するに至りました。

ということで、今回初めて体験するエアライン、あまりよく知らなかったので特に期待感も偏見もありませんでしたが、シートピッチが28インチというのを聞いて、追加料金を払って比較的広い非常口席を確保しておきました。ところが、空港でセルフチェックインの機械をいじっていたら、€60でアップグレードできるというのが出てきて、ちょうどお昼時のフライトで機内食が出るというのについつい釣られてしまいました。優先搭乗もできて、早々と前の方の席に落ち着いたら、後ろはかなり混雑しているようで、荷物の収納に手間取って続々と乗り込んでくる人たちがなかなか着席できず、CAさんたちもイライラとストレスをためている様子だったし、後に続いている人がいるので速やかに着席しろと注意したCAさんに怒鳴る客もいたりして、アップグレードしてよかったと内心思いました。かなり疲れた顔で機内サービスを続けるそんなCAさんを少しでもねぎらってやろうという思いで、飲み物は何にするか聞きに来た時に、恥ずかしそうな顔をして下手なスペイン語で赤ワインをお願いしたら、初めてニコッとした顔を見せたので、こっちもホッとしました。CAさんから笑顔を求めたいと思ったら、笑顔を引き出すようなことをすればいいんだなと納得した瞬間でした。

往路のBAと違い、今度はゆったりと座って、おいしい食事をワインとともに楽しめたし、マドリッドでの乗り継ぎ時間が短く、しかも次のゲートがかなり遠かったので、到着時に速やかに降りられたことも助かりました。

フライトログ

搭乗の詳細データです。

座席番号
2C
搭乗クラス
ビジネス
区間マイル
930
出発時刻
12:15
到着時刻
15:00
予定飛行時間
2:45

コメント

  • こんにちは。

    イベリアは仰せの通り成田線増便されますが、これはここ数年の(団体)旅行客の流れに起因するのがあるかもしれません。

    と言いますのも、フランスでの11月テロや、中東からの難民大量流入によって、ヨーロッパ旅行が伊西ポルトガルへシフトしてしまったようです。
    ようやく中欧への流れは戻りつつありますが、これからも旅行客のスペインへの流れは小さくなりそうにないものと思われます。

    次の投稿は帰国便になるのでしょうか。楽しみにしています。

  • 2018/11/09 21:05:14

    あなたにオンタイムさん様、
    コメントありがとうございます。そうなんですか、団体旅行客の力は大きいですねえ。スペインやポルトガルも、気候は温暖だし、食べ物はおいしいし、観光するにはいいですよね。向こうにとっても、そうやって観光客のお金が入ってくるのはいいことだろうし。
    団体といえば、ある時、ミラノからタイ航空でバンコクに飛んだ時、expertflyer.com で座席の埋まり状況をチラチラと確認しながら、ガラガラのように見えていた機体後方の席を確保して、快適な空間を期待していたら、当日、イタリア人中高年の団体で後ろがぎっしり埋まっていて、にぎやかなところに一人チョコンと窮屈な思いで苦笑しながら座ったことがあります。この頃は、当日のチェックインまで座席がアサインされない人も多いようですし、空席状況の確認サイトはあまり役に立たないなと思いました。しかしそういうので座席が一気に埋まってくれれば、エアラインとしは嬉しいのでしょうけど。

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