成田国際空港(NAA)は、グループの2019年度から2021年度の3カ年中期経営計画「飛躍、未来 2021」と成田空港が目指す空港像である長期経営構想をあわせたNAAグループ中長期経営構想を策定しました。中計の財務目標は、2021年度の連結営業利益として440億円超、連結総資産利益率(ROA)は4.5%以上、連結長期債務残高は5,000億円台前半、連結長期債務残高/キャッシュフロー倍率は7.2倍以下としています。
航空関連の取扱量の目標は、航空機発着回数は2021年度に国際線21.7万回、国内線5.8万回の計27.5万回、旅客数は国際3,840万人、国内線810万人の計4,650万人、格安航空会社(LCC)シェアは37.5%程度を目指します。
経営環境としては、訪日需要の高まりがあり、格安航空会社を中心とした成長が見込まれています。一方でアジア地域の空港では、羽田、ソウル・仁川、北京新空港や上海・浦東、香港、シンガポールなど大規模空港が拡張と24時間体制で取扱能力の拡大を計画しています。
こうした背景と新たなC滑走路の建設、B滑走路の延伸と一部先行投資を始めることから、今回の中計は、飛躍的な成長に向けた基盤強化を進める時期と位置づけています。この実現に向け、(1)世界最高水準の安全性と高効率の運用、(2)機能強化と同時に地域との共生の実現、(3)航空ネットワークの強化、(4)世界最高水準の旅客体験、(5)魅力ある商環境の創出、(6)持続的成長を実現する競争力強化、6点を柱としています。
このうち安全性では、想定を超える自然災害への対応からテロ対策を含む保安体制などの危機管理体制を実現し、空港運用・施設起因の航空機事故、施設障害による運用への重大な影響発生、セキュリティ対策不備による運用への重大な影響と3つの発生件数ゼロにするトリプルゼロを掲げています。
また、ネットワークでは、国際線は中国内陸部や東南アジアなどインバウンド旅客増、リゾート路線や南アジア、北欧・東欧などマーケット開発で2021年度に国際線135都市以上、国内線では未就航エリアの北海道、東北、山陰などの路線誘致で国内線27都市以上を目指します。いずれも夜間飛行制限の緩和による新スロット活用を航空会社にプロモーションするほか、新規インセンティブを活用したネットワーク拡大や朝発ボーナスによる利用促進、インセンティブ制度の深度化など戦略的な料金制度を検討します。