茨城空港改め「東京北空港」が検討されていると、朝日新聞が配信した2020年2月18日(火)付の記事が話題になっています。茨城県議会で2019年、「東京北空港」「東京小美玉空港」「東京茨城空港」と言い方がいろいろあるものの、何より「東京」を冠することが重要と議論されています。
「東京北空港」は、正式名称の百里飛行場が民間に門戸を開き、定期便を受け入れる2010年に先立つ2008年から、茨城県議会の議論に登場しています。2019年には、知名度をあげることができるとメリットを指摘し、ロンドン周辺の空港としてロンドン・ヒースロー空港、ロンドン・ガトウィック空港、ロンドン・スタンステッド空港、ロンドン・ルートン空港、ロンドン・シティ空港の事例を紹介しています。
ロンドンでは、スタンステッド空港とガトウィック空港はおおよそ110キロメートル(km)あり、東京都心に近い羽田空港と茨城空港の道路での距離とほぼ似た関係です。同じような世界での事例を見ると、ストックホルムでは、日本路線も就航するストックホルム・アーランダ空港と格安航空会社(LCC)が使用するストックホルム・スカブスタ空港は140km、アーランダとストックホルム・ヴェステロース空港は100km超と、「東京北空港」と似たような空港が2つあります。
ニューヨークでは、ニューヨーク・スチュワート国際空港とジョン・F・ケネディ国際空港が120km超、離れています。この都市は有名過ぎて、ジョン・F・ケネディ国際空港、ラガーディア空港の主要2空港は「ニューヨーク」を冠しておらず、利便性が良く、日本路線も就航するニューアーク・リバティー国際空港も特に「ニューヨーク」をアピールはしていません。
パリでは、パリ・ボーヴェ・ティレ空港とパリ・オルリー空港は110km超、もっとも使用されているシャルル・ド・ゴール国際空港は、パリ中心部に近く両空港の中間に位置しています。
フランクフルトも日本との国際線が就航するフランクフルト国際空港と、貨物便が就航するフランクフルト・ハーン空港は110km離れています。ハーン空港には貨物に加え、ライアンエアをはじめ、ウィズエア、フライ・ワンのLCCが就航しており、フルサービスはエア・セルビアのみです。
これらの事例から、「東京北空港」の「東京」を冠することは、距離の面で世界では特に違和感がなさそうに見えます。これまで格安航空会社の誘致で実績を積み重ねた成果をアピールしつつ、茨城と東京の人たち、訪れる人たちの納得を得られる愛称にするか、これからの推移は見逃せません。
■世界の主な都市と地名を冠する空港 <北京> 北京南苑空港 北京首都国際空港 北京大興国際空港 <ダラス> ダラス・ラブフィールド空港 ダラス・フォートワース国際空港 ダラス・エグゼクティブ空港 <セントルイス> セントルイス・リージョナル空港 セントルイス・ダウンタウン空港 セントルイス・ランバート国際空港 スピリットオブセントルイス空港 <メキシコシティ> メキシコシティ・アティザパン空港 メキシコ・シティ国際空港 メキシコシティ・サンタルチア空港 <ブリュッセル> ブリュッセル国際空港 ブリュッセル・サウス・シャルルロワ空港 <ベルリン> ベルリン・シェーネフェルト空港 ベルリン・テーゲル空港 ベルリン・ブランデンブルク国際空港 ベルリン・テムペルホーフ空港 (廃港) <フランクフルト> フランクフルト国際空港 フランクフルト・ハーン空港 フランクフルト・エーゲルスバッハ空港 <パリ> パリ シャルル・ド・ゴール国際空港 ル・ブールジェ空港 パリ オルリー空港 パリ・ボーヴェ・ティレ空港 <ロンドン> ロンドン・ビギンヒル空港 ロンドン・シティ空港 ロンドン・ガトウィック空港 ロンドン・ヒースロー空港 ロンドン・ルートン空港 ロンドン・サウスエンド空港 ロンドン・スタンステッド空港 <ミラノ> ミラノ・リナーテ国際空港 ミラノ・マルペンサ空港 ヴェルジャーテ空港 <ワルシャワ> ワルシャワ・フレデリック・ショパン空港 ワルシャワ・モドリン空港 ワルシャワ・バーバイス空港 <ストックホルム> ストックホルム・アーランダ空港 ストックホルム・ブロンマ空港 ストックホルム・スカブスタ空港