米議会、737 MAX報告書 ボーイングの隠蔽体質 FAAも問題

米議会、737 MAX報告書 ボーイングの隠蔽体質 FAAも問題

ニュース画像 1枚目:Final Committee Report on the Boeing 737 MAX
© The House Committee on Transportation and Infrastructure
Final Committee Report on the Boeing 737 MAX

アメリカ議会下院の交通・インフラ委員会と航空小委員会は2020年9月16日(水)、ボーイング737 MAXの最終報告書を公表しました。この報告書で、ボーイングとアメリカ連邦航空局(FAA)の双方が、設計、開発、認証の段階で重大な失敗を繰り返してきたと指摘してます。具体的には、ボーイングのプレッシャー、隠蔽体質、FAAの認証体制の問題を挙げています。さらに、航空の安全、規制の透明性を進め、連邦政府の監視を強化し、ボーイングが説明責任を改善するよう求めています。

報告書は、ボーイングが737 MAXプログラムを進める際、ライバルのエアバスA320neoへの対抗として、財政面でプレッシャーがあったと状況を述べています。コスト削減にはじまり、737 MAXプログラムのスケジュール維持、生産ラインの月産体制の減速回避などその影響は広範囲に及びます。その中で、2機が墜落した事故原因とされる失速を防ぐ自動制御システム(MCAS)は、設計と性能の仮定に誤りがあったと指摘しています。

さらに、FAA、顧客の航空会社、737 MAXのパイロットにボーイングがMCASの機能を知らせなかったことに対し、その隠蔽体質を断罪しています。ボーイングのテストパイロットがフライトシミュレーターでMCASの対応に10秒以上かかり、非常に危険と認識できる状態にありましたが、事故後にその機能が広く公表されるまで知らせていませんでした。

FAAの認証体制にも問題があり、FAA認定のボーイング社員が安全性について注意喚起をしていない複数の事例も確認されています。さらに複数のFAA幹部は、ボーイングの意向で技術専門家の判断を覆す例もあり、FAA職員にも安全の意識に問題があると指摘しています。

報告書の公表を受け、ボーイングは9月16日(水)、指摘された737 MAXの問題点を機体の設計全体のプロセスに反映させているとコメントしています。この改修で、375,000時間以上のエンジニアリングと試験時間、1,300回以上の試験飛行を実施し、規制当局による集中的なレビューなどが実施されています。その上で、犠牲者に哀悼の意を示しつつ、ボーインングは「根本的に変え、改善の道を模索し続けています」とコメントしています。

メニューを開く