747SP空飛ぶ天文台の成果 - 月の水、太陽光あたる場所でも確認

747SP空飛ぶ天文台の成果 - 月の水、太陽光あたる場所でも確認

ニュース画像 1枚目:SOFIAと月 イメージ
© NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter
SOFIAと月 イメージ

アメリカ航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同運用する「SOFIA (Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy : 遠赤外線天文学成層圏天文台)」の観測成果として、月の太陽光が当たる部分で初めて、水分子が確認されました。ネイチャー・アストロノミーで2020年10月26日(月)、2本の論文で発表されました。

1960年代のアポロ計画で月の岩石が地球に運ばれて以来、月面の水の存在が大きな研究課題となっていました。その後、2008年にインドのチャンドラヤーン1号の打ち上げに搭載された月探査機で月の裏側に水が存在すると示されました。今回は、SOFIAに搭載されている微光天体赤外線カメラ(FORCAST)で2018年8月30日(木)、月を観測しました。

発見された水量は、サッカーコートと同じ面積内に300ミリリットルの飲料ボトルとほぼ同じ量とされ、将来の月ミッションに当たるクルーに重要な資源になる可能性があると説明されています。

SOFIAは今後も月を観測し、水の現象をより詳細に調査する予定です。この飛行観測を通じて、月面の水の由来、貯水の仕組み、月面全体の分布など、多くの疑問の解明に役立てられる計画です。

SOFIAは「空飛ぶ天文台」として知られ、ボーイング747SP型機をベースとし、機体後部に2.7メートルの反射望遠鏡を搭載しています。これを利用する際には、胴体に設けられている縦4メートル、横6メートルのドアを開き、搭載する特殊な電子システムも使い、さまざまな科学的調査に対応しています。観測飛行の際は、夜間の10時間に渡り、成層圏の38,000フィートから45,000フィートにまで上昇して研究に必要なデータを収集しています。この高度を飛行する理由は、地球に到達する99%の赤外線を遮断する大気の上から観測する狙いがあります。

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