2019年9月に防衛関連メディアのJanes(ジェーン)による報道を受け、注目されていたイギリス空軍運航の王室向けBAe-146型機の動向がいよいよ決まる模様です。英デイリーメイルの最近の報道によると、2021年3月16日(火)にジョンソン首相がイギリスの外交・防衛・安全保障政策を発表、3月22日(月)にイギリス国防省が近代化計画を公表すると伝えています。その一連の発表で、BAe-146の動向も決まると示唆しています。
Janesが2019年に伝えた一報は、イギリスの装備品を払い下げる装備品売却庁(DESA)がBAe-146の4機について売却可能性を各社に打診したという内容でした。DESAは、機体の金額を検討するためのものと回答していました。今回の首相、国防省の方針は、国防予算の削減に向け、老朽化した機材を廃止するためとみられています。
王室向けに運航されている機体は、1986年4月に導入した「ZE700」、1986年7月に導入した「ZE701」の2機です。このほか部隊所有のBAe-146には、ヨーロッパの民間航空会社で運航されていた旅客機を買い取り、2012年4月と5月に導入した「ZE707」と「ZE708」の2機もあります。王室向けの2機の機齢はいずれも約36年、2012年に導入した2機も30年と28年となっています。
イギリス政府は、イギリス空軍(RAF)の空中給油輸送機ボイジャーKC.3「ベスピナ」シリアル「ZZ336」を2020年6月、VIP用に改装し、ユニオン・ジャックの新塗装を施しました。この機体は、政府要人、外交や貿易などに関する政府代表団の人員輸送任務が無い時は、空中給油の任務に使用されるため、コスト効率が良いとされています。
ボイジャーは最大航続距離13,430キロメートルと、イギリス連邦の世界各地を訪れる際に長距離移動で重宝しそうです。ただし、「王室の伝統」として築かれた機体を廃止することに反対意見もある模様で、その動向が注目されます。