日本グライダークラブ会員の田上研之(たがみ・けんし)さんによるグライダーの国内長距離飛行記録が、国際航空連盟(FAI)から公式認定されました。日本グライダークラブ が管理運営する板倉滑空場からグラザー・ディルクスDG-400型、機体記号(レジ)「JA40DG」で2021年5月10日(月)早朝、単独飛行で飛び立ち、1,084.4キロメートル(km)を無動力で飛行した記録です。国内初の国際滑空記章1,000km章の獲得の快挙でした。FAIからの公式認定は6月12日(土)でした。
FAI国際滑空記章1,000km章の獲得には、スタート地点からゴール地点まで、3つの旋回点を通る4つのレグ合計で1,000km以上の距離を無動力で飛行する必要があります。今回の記録は2013年から、7度目の挑戦で記録を達成しました。田上さんは、「あきらめずにトライを続け、やっと達成できました!風の力だけを利用したグライダーで、このような長距離飛行が出来ることを多くの人に知ってもらえればさらに嬉しいです」とコメントしています。
当日は栃木県那須塩原市をスタート地点とし、岩手県金ケ崎町までの約250kmを2回往復するコースを設定して飛行。1,000kmの平均飛行速度は時速127km、6時50分に離陸し、16時30分に着陸という10時間弱のフライトでした。
日本人による海外でのグライダー1,000km章飛行は過去9人が達成。日本では航空法上グライダーの飛行が日中に限定され、日中に1000km飛行に適した気象条件は長時間広いエリアで続く日が、例年4月から5月のわずか数日間で、国内で初めての記録達成は、さまざまな条件をクリアした快挙でした。
グライダーは、離陸時に通常は小型飛行機に曳航、または機体に格納できる小型プロペラ動力で飛び立ちます。小型機から切り離し、またはプロペラ動力を停止・格納後は上昇気流を探して自ら高度を獲得、その高度を利用した滑空で進みます。日本語では「滑空機」と呼び、飛行機と同じく翼と胴体で構成するものの、エンジンなど動力を使わず飛行する航空機です。
なお、日本航空協会と日本滑空協会は、今回の記録達成と並行し、500km往復コース速度のアジア大陸記録として平均時速記録達成をFAIに申請しています。