初飛行から63年、海上自衛隊P-3Cの季節の便り届ける特別な任務とは

初飛行から63年、海上自衛隊P-3Cの季節の便り届ける特別な任務とは

ニュース画像 1枚目:アメリカ海軍をはじめ、世界各国で採用されているP-3 (山猿さん撮影)
© FlyTeam 山猿さん
アメリカ海軍をはじめ、世界各国で採用されているP-3 (山猿さん撮影)

63年前(1958年)の8月19日、ロッキード製P-3オライオンの原型機が初飛行しました。当時、YP3V-1(命名規則でYP-3Aに変更)と呼ばれた機体で初飛行し、数々の改良が加えられたP-3オライオンは現在も各国の海・空軍で哨戒機として活躍。海上自衛隊でも、哨戒機や練習機として、世界第6位とも言われる日本を取り巻く広い「海」で監視、哨戒活動を実施しています。そんな海自P-3Cは、身近な季節の変わり目を伝える任務を含め、多様な活動を展開しています。

ニュース画像 1枚目:流氷の上空を観測飛行するP-3Cオライオン
© 海上自衛隊
流氷の上空を観測飛行するP-3Cオライオン

緊張感の高い任務が多いP-3Cの活動のうち、多くの人に季節感を感じさせてくれる特別な任務があります。八戸航空基地の第2航空群は毎年、オホーツク海の海氷観測を実施。海氷観測のみを目的とした飛行は、海外への派遣任務が増加したことから、概ね年1回程度に減っていますが、冬季の任務飛行では海氷観測と気象庁への情報提供は、ほぼ毎日実施。季節の変わり目を知らせる特別な活動を担っています。

ニュース画像 2枚目:画像情報収集機OP-3C、胴体下部にドーム型の形状がついている (350JMさん撮影)
© FlyTeam 350JMさん
画像情報収集機OP-3C、胴体下部にドーム型の形状がついている (350JMさん撮影)

海自P-3Cの基本的な任務は、日本周辺の領海や排他的経済水域を上空から監視、哨戒活動です。配備基地は厚木、八戸、鹿屋、岩国、那覇、そしてパイロット教育・養成を担う下総です。近年は、北朝鮮の瀬取り監視などでの任務、さらに中国、ロシアの艦艇の動きを監視し、その活動が伝えられています。

岩国には画像情報収集機OP-3C、電子戦機EP-3、電子戦訓練支援機UP-3D、厚木には試験評価機UP-3CといったP-3Cをベースに改造された特殊任務に対応する機種も保有。これらの機種は、その活動が機密性が高く、公表される活動は少ないこともあり、航空祭での地上展示は人気の高い機種でもあります。

ニュース画像 3枚目:第32次派遣海賊対処行動航空隊による初フライト
© 海上自衛隊
第32次派遣海賊対処行動航空隊による初フライト

海自P-3Cは日本周辺海域の防衛活動以外にも、2008年からソマリア沖・アデン湾での海賊による被害を未然に防ぐため、国際連合安全保障理事会(国連安保理)の決議に基づき、継続的に派遣されています。2017年10月に派遣された第29次隊で鹿屋の第1航空隊以降は、八戸の第2航空隊、那覇の第5航空隊が交代で任務にあたっています。

ニュース画像 4枚目:P-3CのターボプロップエンジンからP-1はターボファンエンジンに変わった (のぶさん。さん撮影)
© FlyTeam のぶさん。さん
P-3CのターボプロップエンジンからP-1はターボファンエンジンに変わった (のぶさん。さん撮影)

このP-3Cの後継機として、国産のP-1哨戒機の開発が完了。現在は、量産機が生産されていることから厚木の一部、さらに鹿屋基地は2021年2月にP-3Cは全機退役し、P-1に機種更新が進んでいます。国有財産台帳記載によると、2021年3月末現在で44機と2020年3月末の50機から減勢しています。保有機数は減っているものの、P-3CやOP-3Cは機齢延伸、搭載レーダーの能力向上改修が実施され、まだまだ現役で活躍する見通しです。

そんなP-3Cオライオンの飛行について詳しく知りたい場合は、海上自衛隊公式YouTube「艦Tube」でP-3C特集が組まれています。

【艦Tube】P-3C哨戒機をけん引してみた! 【艦Tube】P-3Cで着陸してみた! 【艦Tube】P-3Cで離陸してみた!
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