ボーイングが運航する通称:エコデモンストレーター(ecoDemonstrator)「エクスプローラー (EXPLORER)」こと、ボーイング787-10型機「機体記号:N8290V」。2023年6月12日・13日に、日本・タイ・シンガポール・アメリカの航空当局と共同で行うプロジェクト「MR TBOプロジェクト」で成田空港へ初飛来しました。そのスマートな外観とシンプルな塗装で、集まった航空ファンを魅了しました。この記事では、そんな“エクスプローラー”の気になる機内の様子を、たっぷり紹介します!
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◼︎「MR TBOプロジェクト」とは
各国の管制と航空機を同じシステムで結び、航路上のあらゆる“情報”や“航路の混雑情報”を共有。これにより、最適な経路・高度・時間を得ることができ、状況に応じた最適ルートの飛行による燃費向上などが臨めます。いわば、渋滞予測や経路変更など、車のカーナビと同じようなシステム構築を世界規模で目指すものです。
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◼︎いざ機内へ
“エクスプローラー”こと、787-10「N8290V」は、2021年3月製造。ベトナム航空へ引き渡される予定で機体カラーリングや機内仕様は完成していたものの、何らかの理由により引き渡しはされませんでした。現在は、ボーイング社が試験機として保有・運用しています。L1ドアでは少しだけ、ベトナム航空の面影を感じることができました。
◼︎コックピット
787のコックピット。最新型のディスプレイユニットが並んでいるほか、試験機らしく正面中央には別のモニター2台が後付けされています。また、サンバイザーのようにパイロットの視界上へ、航行に必要な情報を表示させる「ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)」が備え付けられていることも確認ができます。(全景写真では格納状態)
◼︎客室内
客室内は2クラス制367席を設置しています。ヘリンボーン式のフルフラット24席、エコノミークラスは343席。現在、ベトナム航空が運航している4機の787-10と共通の客室仕様です。ビジネスクラスの座席カバーには、ベトナムの国花である“蓮(ハス)の花”デザインがあしらわれています。
エコノミークラスでは全席モニター付きの座席が、機体前方エンジン横あたりから最後部まで計343席並んでいます。一部区画には試験に使用されるとみられる機器類が区分けされ、設置されていました。
ギャレーは最前方と機内中央、後方に3か所設置。ここもベトナム航空仕様の備品がそのまま使用されていました。ボーイング担当者は、「使用可能な機内設備は、納入予定であった航空会社のものをそのまま使用している」とし、長期的な使用を想定していない様子でした。
12日11時ごろ成田へ到着し、13日13時過ぎに成田空港A滑走路「34L」から離陸した“エクスプローラー”は、同日20時ごろ(現地時間)シンガポール・チャンギ国際空港へ到着。14日にはバンコク・スワンナプーム国際空港へ。16日にバンコクを出発し、同日中にアメリカ・シアトル(エバレット)のペインフィールド空港へ到着し、全行程を終えました。